●某大学工学部教授、資格試験落第す!
 これは実話なので、某大学ということにしておきますが、一般社会人向けに技術系講習会で教えている工学部の教授が、その資格試験に興味を持ち、趣味と実益を兼ねて受講生に混じって受験したところ、みごとに落第したという話があります。
 その先生は、仲良くなった私に資格試験問題を見て「くだらね〜」と本音を漏らしていたのですが、その「くだらね〜」ものにみごとにふられてしまったのでした……。
 何だか非常に笑える話ですが、でも、同時に資格試験の現実を非常によく表している話でもあります。
 実は、専門の大学の先生が資格試験の問題を解けないことがある、というのは結構よくある話で、全くめずらしくありません。
 もちろん、能力的にどうのとか、知識がどうのということでは全くありません。
 要するに、試験対策が出来ていなかった、ということです。
 多分、過去問題を解き慣れていなかったのでしょうし、出題傾向もあまり把握していなかったのではないかと思います。
 これは、現場の専門家の場合にも全く同様に当てはまります。
 非常に技術や経験が豊富な方でも、落ちる人はやはり落ちるのがこの資格試験というものです。
 逆に、この世界に入ったばかりの青二才でも、準備さえ積めばすんなり受かってしまうという現実もあります。
 ですから、資格試験に合格しようと思ったら、合格するための最低条件を知り、何度でも試験問題を解いて出題パターンを覚え、最低ラインは突破できるだけの訓練を積んでおく必要があります。


●どれくらい勉強したら合格できるのか?
 施工管理技士の試験は、最初の関門である学科試験に合格することが全体の8割位を占めています。
 学科試験に合格できれば、後は油断せずに実地試験の受験対策を行えば、実地試験にもそのまま合格できるのが普通です。
 (ただし、2級の場合は学科・実地同時に行われるので、どちらもまんべんなくやっておく必要があります。)
 学科試験は個人差が非常に大きく、1週間程度の勉強で合格する人もいる反面、5回、6回と毎年決まったように落ち続ける人もいます。
 参考までにいいますと、1週間で合格できる人はもともと集中力があって、知識や経験・応用力が豊富な人が多い(自営の社長さんなどが多い)ですし、続けて落ち続ける人は、問題パターンが変わると全く対応できなくなるような人やあがり症の人が多いように思います。
 一般的には、合格するまで独学で1級で2〜3年、2級で1〜2年といったところでしょうか。
 難易度は施工管理技士で異なり、単純な比較はできませんが、独断と偏見で敢えて言えば、最も難しいのが1級建築施工管理技士、最も簡単なものが2級造園施工管理技士ということになりましょうか。
 なお、合格率は、同じ試験でも年度によって20%前半から50%前半までの幅があり(1級の場合)、あまりあてになりません。
 また、学科の合格率が高い場合は実地で調整され、ばっさりと落とされることが結構よくあります。
 したがって、合格可能な「目安」を知ることの方がはるかに重要です。
 施工管理技士試験の特徴は、非常に幅の広い知識が要求されるということです。
 しかも、専門分野の問題は、出題の幅が広いだけではなく、問題としての突っ込みも結構深く、経験のない分野からの出題は非常に対応が大変です。
 しかし、合格ということを考えた場合、その他の分野も含めた総合点数で決まるので、あまり専門分野が強くなくても十分合格できるのです。
 具体的には、必要解答数の6割以上の正解で合格となり、実際の試験でも、専門分野よりも法規や施工管理等の問題の方が重視されています。
 具体的にはその施工管理技士によって異なりますが、出題問題を重要な順番から並べていきますとおおよそ次のとおりです。

1.絶対に落とせない問題
 @施工管理法
 A法規
2.多少は落とせる問題
 @専門分野の基礎問題(土木なら「一般土木」、電気なら「電気理論」、管工事なら「原論」等)
 A関連分野(他の施工管理技士に関連する基礎問題)
3.半分程度は見逃せる問題
 @専門分野の問題(土木なら「専門土木」、電気なら「電気工学や電気設備」、管工事なら「空調や衛生」等)

 解答する側の受験対策から考えますと、実は先に挙げた1⇒2⇒3の順番に行くに従って繰り返して出題される問題の割合が減っていく(つまり、過去問題と同じ内容の問題が出題される割合が減少する)という事実があります。
 ………そうです。
 1の「絶対に落とせない問題」は、毎年繰り返して出題される確率が高い問題なのです。
 ですから、具体的に言えば、「施工管理法」と「法規」に関して言えば、過去5年間分の問題を100%解答出来るように受験準備を行っていた方が良いのです。
 2の「多少は落とせる問題」の場合、同じような問題が出る確率は1の場合ほど高くはないのですが、1と同程度に過去5年間の問題で95%程度出来るように準備しておけばまず大丈夫でしょう。
 3の「半分程度は見逃せる問題」の場合、出題数が多い割に必要解答数が少なくなるので、過去問題と同じ問題が出題される確率が低くなり、また問題が難しいことが多いので、これを重視した勉強の仕方をした結果不合格になってしまうというパターンが多いです。
 実は、これが「専門家」の陥りやすいワナなのです。
 「専門家」は、あまり「専門分野」に深入りせず、その分「施工管理法」や「法規」へ回した方が、はるかに合格しやすくなると思われます。
 一般的には専門分野の攻略は結構難しく、時間のかかることなので、普通は問題内容を理解するというよりも、問題パターンに慣れるようにした方が合理的に合格にたどり着くことができると考えた方が良いでしょう。
 したがって、とにかく繰り返して問題解きをやることを心がけることです。
 実際、5回、6回と過去問題を解き続けていると、問題パターンそのものを覚えてしますので、全く考えることなく、問題文を見た瞬間に答えが分かるようになります。
 専門分野に関しては、理想的には過去7〜8年分の問題を95%以上解けるようになれば、試験会場で怖いものは何もなくなると言っていいでしょう。


●業界の裏話・合格率の高い講習会とは?
  実は、ウソのような本当の話ですが、「専門分野」の問題は結構難しいことが多いため、市販の解説本でも1年分の問題解説中1〜3箇所程度の誤りがあるのは普通のことです。
 今まで見た中で最もひどかったのは、ある一流出版社の1級施工管理技士の解説書で、何と1年分の出題問題92問中10箇所(解答誤り9箇所)誤りだったということがありました。
 本当にこの時ばかりは読んでいたこちらの方がショックで、何も知らずに購入する人は本当に悲惨だなと思いました(一応、その出版社に教えてあげました)。
 実際、有名な先生でも解説をじっくり聞いていると、時々間違ったことを喋ることがあります。
 また、このホームページでもお知らせしておりますとおり、出題問題自体が誤っていたということもあります。
 でも、今まではあまり問題になりませんでしたし、解説書にも率直に出題ミスであることは指摘しません。
 結局、このような問題は必須解答の問題ではないことが多いため、わざわざ選んで解答しないのが普通ですし、受験生としては要するに60点以上取って合格し、資格が得られればそれでいいのですから、あまり関わっても意味がないと言うことで、大雑把なところで60点以上取れる答え方が分かればそれでいいわけです。
 ですから、合
格率の高い講習会は、問題を良く理解させようとするよりも、問題を何度も何度も解かせて出題パターンに慣れさせる訓練を行います。
 そもそも、毎年似たようなパターンの問題が出題されるわけですから、時間がかかることをするよりも強制的に覚えさせてしまった方が早いわけです。
 このようなことを何度もやるわけですから、合格率の高い講習会ほど講習費用が高額になる……というわけです。
 試験実施機関のホームページを見ると、「高額の講習費用を取って云々」という高い講習会を牽制するような文句がたいてい載っていますが、実際問題として、このような出題の仕方が続く限り、高額の講習会はなくならないのではないでしょうか?