■1.環境工学(3題出題) 


1 日 射

☆可照時間と日照時間
 可照時間は日の出から日没までの時間で、日照時間は実際に太陽が出ていた時間である。可照時間は、地球の緯度の影響を受け、地表に直角に近い角度で太陽光線が入射する地域ではその時間が長くなる。

☆直達日射と天空ふく射
 直接、太陽光線が地面に達する日射を直達日射、大気中の水蒸気等によって乱反射し、地表に達する日射を天空ふく射という。空が青く見えるのは天空ふく射による。北側の窓からも天空ふく射による熱取得がある。

☆太陽定数と緯度の関係
 太陽光線による熱量の変化は、1uの板に1時間当たりに受ける熱量で表すが、大気圏外では緯度による太陽光線の熱量の変化がほとんどなく、この熱量を太陽定数という。逆に、大気圏内では大気による影響を受け、緯度による熱量の差が大きい。

☆季節と大気透過率の関係
 大気中の水蒸気量が多い夏季と、少ない冬季とでは日射の通過する割合が異なり、冬季の方が日射が透過する割合が大きいが、この大気の状態による太陽光線の透過する割合を大気透過率という。大気汚染の進行度合いによっても大気透過率が異なる。


2 代 謝

☆代謝と基礎代謝量
 生物が食べ物を食べて呼吸する等の身体を維持するために体内で生じる現象を「代謝」という。代謝により体温が維持されるから代謝量は熱量で測定することができる。運動しているときと、静かにしているときでは体内で発生する熱量が異なるから、最低限、身体を維持するために必要な熱量の基準となる量を決める必要があるが、この基準量を「基礎代謝量」という。

☆メットとクロの関係
 服を着込んでも暑くなって代謝量が増えるから、衣服による代謝量とのバランスを表す必要があるが、一定の環境条件で、安静時の代謝量をmet(メット)という熱量の単位で表し、1metの時にちょうどバランスが取れる着衣状態を1clo(クロ)という単位で表している。

☆予測平均申告と予測不満足率
 代謝量が大きすぎれば暑すぎるから、空調条件による暑さ寒さを表す必要があるが、これを統計的に表すようにしたものが「予測平均申告」(PMV)である。大多数の人が快適に感じる空調条件でも、一部の人にとっては暑すぎるとか寒すぎると感じるのが普通なので、PMVのうち、暑すぎる寒すぎると不満を訴える人の割合を予測不満足率(PPD)という。

☆有効温度と修正有効温度
 有効温度は、空気の@乾球温度、A湿球温度、B風速の三つの要素の組合せによる総合的な効果が人体に及ぼす実感的な温度を、同じ体感を得る無風で湿度100%の時の温度で表したもの(ヤグロー線図)をいう。同じことを湿度50%の時の温度で表したものを「新有効温度」といい、どちらも記号は「ET」である。修正有効温度(CET)は、これにふく射温度(グローブ温度計で測定した値)を加えたものをいう。なお、グローブ温度計で測定した温度を「等価温度」という。

☆不快指数の関係する要素
 不快指数は、次の式で表されるので、乾球温度と相対湿度のみが関係する。
  不快指数=0.81×乾球温度×0.01×相対湿度(0.99×乾球温度−14.3)+46.3

☆作用温度
 作用(効果)温度は、@乾球温度、A気流速度、B周壁からのふく射熱(放射温度)の総合効果を表したものである。


3 空気の性質と大気汚染

☆空気の構成
 空気の成分は窒素78%、酸素21%、それ以外の気体成分1%からなる。

☆酸素濃度と酸素欠乏
 酸素は、19%以下になると不完全燃焼(猛毒の一酸化炭素が発生する)が始まり、18%未満になると酸素欠乏状態となり、危険な状態になる。このため、酸素濃度18%未満となるような作業では酸素欠乏危険作業主任者を選任して作業に着手しなければならないことが定められている。

☆一酸化炭素の危険性
 一酸化炭素は、血液中の酸素運搬役であるヘモグロビンと強力に結びつくため、ごく微量でも非常に危険で、中枢、末梢神経に影響を及ぼす。濃度1%程度で数分で死に至る。

☆二酸化炭素の性質
 二酸化炭素は、通常空気中に0.03%=300ppm含まれる。二酸化炭素の室内環境基準は0.1%=1000ppm(百万分の千)以下である。二酸化炭素それ自体は毒性がないが、二酸化炭素濃度に比例して空気が汚染されるので、室内空気汚染度の指標とされており、濃度18%以上では致命的になる。

☆特定フロン・指定フロン・代替フロン
 圧縮式冷凍機に用いられるフロンガスは、特定フロン(CFC)が大気中のオゾン層を破壊し、皮膚ガンを発生させることにつながるため1995年に生産が中止された。特定フロンの替わりに指定フロン(HCFC)や代替フロン(HFC)が用いられるようになったが、これらはオゾン層を破壊することはないものの、空気中で二酸化炭素に変化するため、地球温暖化の原因物質とされている。

☆特定フロンの性質
 特定フロン(CFC)は、約10年かかって成層圏に達し、強い紫外線によって分解され、発生した塩素が連鎖的にオゾン層を破壊する。なお、オゾン層が破壊されると有害な紫外線が地表に降りそそぐので、皮膚ガン等の原因になる。

☆硫黄酸化物
 硫黄酸化物は、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)と三酸化硫黄(無水硫酸)をいう。大部分が化石燃料の燃焼によって発生し、大気汚染や酸性雨の原因物質となる。

☆窒素酸化物
 一酸化窒素と二酸化窒素を窒素酸化物といい、高温度で燃焼させると空気中の窒素と結合して発生する。二酸化窒素は濃度が高いと目を刺激し、急性の喘息性症状を引き起こすこともある。光化学反応によって光化学オキシダント濃度が増大すると、眼がチカチカしたり、のどや鼻が痛むといった症状を引き起こすが、慢性的な呼吸器障害を引き起こすまでには至らない。

☆窒素酸化物とオキシダント
 オキシダントは「酸化剤」の意味で、窒素酸化物と炭化水素の光化学反応で発生するのが光化学大気汚染である。光化学オキシダントは、窒素酸化物(NOX)と炭化水素類(HC)が太陽の紫外線を受け、光化学反応の結果、二次的に生成される。晴天時等では光化学大気汚染が発生しやすい。

☆酸性雨
 酸性雨は、石油等の化石燃料の燃焼によって発生する硫黄酸化物や、窒素酸化物が大気へ放出されることにより、太陽光線等で酸化され、雨に取り込まれたりして落下する現象をいう。酸性雨が降ると、コンクリート構造物の劣化が進行する。

☆室内環境基準
 建築基準法で定める室内環境基準で出題の多いものとしては、浮遊粉じん量0.15mg/m3以下、一酸化炭素濃度100万分の10以下、二酸化炭素濃度100万分の1,000以下等がある。室内環境基準では、「室内温度を外気温より低くするときは、その差を著しくしないこと」と定められている。なお、国土交通省告示では、「冷房時の居室の温度は、外気温度との差をおおむね7℃以上としないこと」と定められている。

☆粘性係数(動粘性係数)と流体の温度の関係
 流体の持つ粘っこさを「粘性係数」で表す。液体は温度上昇に従って粘性係数は低下するが、気体では逆に粘性係数が上昇する。水の温度が低い場合は水に粘りがあり粘性係数が大きいが、沸騰するとさらさらになるので粘っこくなくなって粘性係数は低下する。なお、動粘性係数は、粘性係数を密度で割った値なので、動粘性係数で出題されても結論は同じになる。

☆潜熱と顕熱
 水は0℃では1kg当たり約79kcalの熱量が奪われると0℃の氷になって固体化し、100℃では1kg当たり539kcalの熱量が与えられると蒸発して100℃の水蒸気に変化する。この熱量は物質の形態の変化に使用されるための熱量であり、温度変化は生じないが、これを「潜熱」という。
 0〜100℃までの間は水1kg当たり1kcalの熱量が加えられると1℃ずつ温度変化するが、このように加えられる熱量によって温度変化することを「顕熱」という。

☆水の密度と温度
 水の密度は4℃の時が最大で、温度上昇とともに密度が低下する。

☆流体の圧縮性
 水は圧縮することが難しいため「非圧縮性流体」である。これに対して空気は圧縮可能な「圧縮性流体」なので、これを利用して自動車のクッションとしても用いられている(エアーサスペンション)。


5 音

☆音圧レベルと音の強さ
 音圧レベルの大きさは対数関数(log)で表すため、音の強さが100倍になると10の2乗倍、つまり20dB上昇する。この(logで表す)関係から、同じ大きさの音を2つ合成すると3dB、4つ合成すると6dB増加する。

☆等ラウドネス曲線とNC曲線
 人間の耳は周波数によって音のうるささや大きさの感じ方が違い、音の強さが一定でも低い周波数の音は静かに、高い周波数の音はうるさく感じる。このため、周波数ごとに1000Hzの音と同じ音の高さに感じる音の大きさを測定して表で表したものが「等ラウドネス曲線」であり、特に騒音に限定し、うるさく感じる音の大きさを測定して表にして表したものが「NC曲線」である。

☆暗騒音と目的音
 雑音(暗騒音)よりも目的音の音圧レベルが8dB以上大きい場合、この2つの音を合成した音圧レベルの大きさは、音の大きい側だけ(目的音だけ)の時の音圧レベルの数値とほとんど同じ値になる。

☆残響時間と規定残響時間
 室の残響時間は、音の反響のしやすさや室の容積によって決まり、発生音の音圧レベルは直接影響しない。
 なお、室内に一定の音を出して音が定常状態となり、これを止めてから室内の平均残響エネルギー密圧が定常状態の百万分の1(−60dB)になるまでの時間を「規定残響時間」という。 



■2.流体工学(3題出題) 

1. ベルヌーイの定理

☆定常流
 普通の水の流れを「定常流」という。定常流では、水が杭等によって流れが止まる場所があるが、この状態は時間的変化によっても変化しない。

☆ベルヌーイの定理の意味
 杭等により川の流れが一時的に止まったとしても、水の流れという運動エネルギーは、その影響によって減少するかもしれないが、反面、圧力エネルギーの増加に変化して水の流れを継続させるので、結局、運動エネルギーや圧力エネルギー、それに水の流れの原因となる高低差という位置エネルギーとの関係には、次の式が成立する。
 @運動エネルギー(動圧)+A圧力エネルギー+B位置エネルギー=一定
これを表したものがベルヌーイの定理であり、エネルギーの形態が変化するだけで、トータルのエネルギーは変わらないという意味である。このため、ベルヌーイの定理は、流体におけるエネルギー不変の法則と言われる。

☆トリチェリの定理
 水槽の小孔から噴出する水の速度は、トリチェリの定理で、2×重力加速度×水面から小孔までの落差―――を平方根した値で表される。よって、実質的に水面から小穴までの落差の平方根によって決まるため、この値が同じ場合は真水も海水も同じ噴出速度になるが、運動エネルギーは真水よりも密度が大きな海水の方が大きい。


2 レイノルズ数と流体の性質

☆動粘性係数と粘性係数
 粘性係数は、流体の粘っこさの程度を表す。動粘性係数は単位密度当たりの粘っこさなので、動粘性係数が大きいときは粘性係数も大きい。

☆レイノルズ数の意味
 レイノルズ数は、配管内を流れる流体の流速と管径の積(流れの慣性力)を動粘性係数で割った値であり、管内を粘っこく流れているか、サラサラ流れているかを判断する目安である。計算の結果、レイノルズ数が2,000以下だと層流(粘っこい流れ)、4,000以上だと乱流(サラサラした流れ)、その中間を遷移域という。

☆管径と管内の流速のレイノルズ数との関係
 管径と管内の流速はレイノルズ数と比例関係にある。よって、管径が小さくなるとレイノルズ数は小さくなる。また、平均流速が大きくなればレイノルズ数も大きくなる。

☆管摩擦係数
 管内の相対粗さ(管表面の凹凸の平均高さと管径の比)をレイノルズ数で割った値を「管摩擦係数」といい、ムーディ線図で表される。

☆レイノルズ数と管摩擦係数
 層流域では、管摩擦係数は64をレイノルズ数で割った値で表される関係にあるため、レイノルズ数と管摩擦係数は反比例関係がある。層流域はねっとりした流れであり、ねっとりしているために流体の分子間の移動が少なく、管摩擦係数(管の内部のざらつき具合)はあまり影響しない。

☆ムーディ線図
 ムーディ線図は、縦軸に管摩擦係数、横軸にレイノルズ数を取り、両者の関係を表したものである。


3 圧力損失と水撃現象


☆直管部の圧力損失
 ダルシーワイズバッハの式は、まっすぐな管(直管)内で生じる圧力損失を表した式である。圧力損失が管の長さや動圧(流体速度×流速2を2で割った値)に比例すること、動圧に比例するということは流速の2乗に比例することを意味する。


4 流体に関する用語

☆ニュートン流体
 ニュートン流体は、粘性流体のうち流体の流れが速くなるにつれて流れに平行な方向に働く摩擦力が大きくなる流体をいい、うずの生じない水や油等をさす。

☆静止した流体の圧力
 静止した流体中の任意の点における圧力の働く方向は、重力の他にも静圧(水の分子間で押し合いへし合いする圧力)がある。

☆水撃現象の要素
 水撃現象による圧力上昇値は、次の要素に比例する。
 @流速
 A管材料のヤング率→外部から圧力を受けたときにはね返そうとする力の割合→材料で異なる
 B管壁の厚さ

☆オリフィス
 オリフィスはドーナツ状の中心に穴の空いた円盤で、管内に取り付け、オリフィス前後の圧力差を測定して流量を算出する。流速は測定しない。

☆ピトー管
 ピトー管は、気流の圧力を受けて管内の圧力が変化することを利用し、全圧と静圧の差から「動圧」を測定する。なお、動圧は(流体密度×流速の2乗)÷2で表されるので、「流速」も測定できることが出題される。

☆マノメータ
 ダクト内の圧力(静圧)測定に用いられる。

☆ベンチュリー管
 ベンチュリー管は自動車のキャブレターや霧吹きの原理であり、口径が減少すると流速が速くなることを利用して流量を測定する。


■3.熱工学(3題・その他1題出題) 

1 熱

☆ボイルの法則
 「圧力と体積を掛けた値は変化の前後を通して一定になる」というのがボイルの法則である。

☆ゲイルザックの法則
 絶対温度(摂氏温度の表示に273を足した値)の変化割合は、体積の変化割合に等しくなるというのがゲイルザックの法則である。


2 熱の移動

☆熱伝導
 熱伝導は、固体内部だけで熱が伝わることをいう。

☆熱伝達
 熱伝達は、固体から流体に熱が伝わることである。

☆熱伝達量
 固体壁に接する流体間の熱伝達による熱移動量を熱伝達量といい、熱伝達量=熱伝達率×(固体表面温度−周囲流体温度)×固体表面積×時間 で表される。

☆放射の性質
 放射(ふく射)という場合は、電磁波の一種で熱が伝わる現象で、空間による影響を受けない。この時、熱放射による熱移動量は物体温度の4乗に比例する(ステファンボルツマンの法則)。

☆伝熱量と温度勾配
 伝熱量は、固体間の距離に反比例し、温度差に比例する。これを温度勾配という。

☆固体壁両側の流体間の温度差
 固体壁両側の「流体間」の温度差は、両側の固体表面と接する「@流体温度差」と、A熱通過率、B壁面積、C通過時間―――の4つを乗じた値で表される。

☆空調計算のルール
 空調計算では、現実の温度では負荷計算を行わないので注意する。たとえば、外気温は実際の外気温ではなく、空調設計用の外気温である「TAC温度」で計算する。同じように屋内外の温度差も実際の温度差ではなく、空調設計用の「実効温度差」で計算する。



3 燃 焼

☆燃焼温度による有害物質等の発生
 窒素酸化物は高温燃焼によって発生するが、ダイオキシンは逆に低温燃焼によって発生する。

☆空気過剰率
 空気過剰率は、理論的に完全燃焼に必要な空気量(理論空気量)と、実際に完全燃焼させるのに必要とした空気量の比率で、気体→液体→固体の順に(燃えにくい順に)大きくなる。

☆高発熱量と低発熱量
 高発熱量は理論的な発熱量で、実際には発熱量のうち、燃料自体が有する水分が、水が水蒸気に変化するのに必要な潜熱分を取ってしまうので、この分をあらかじめ差し引いて純粋に熱を与えることができる分として表現したものが低発熱量である。


4 湿り空気

☆湿り空気
 湿り空気は、乾燥空気+水蒸気分で表される。

☆相対湿度
 相対湿度は、同じ温度で湿度100%の時と比べて湿度の割合がどれだけあるかを表す。

☆絶対湿度と温度変化
 絶対湿度は、乾いた空気1kgに対して水分量が何kg存在しているかという意味で、温度変化による変化がない。

☆結露の発生
 空気は冷えると収縮し、温まると膨張するから、冷えた場合には空気中に水蒸気の形でとどまっていられない分は液体化して「結露」になる。

☆温度と相対湿度の関係
 空気温度が高くなると空気が膨張し、単位容積当たりの水分子の割合が減少する。つまり、相対湿度は低下する。反対に、空気温度が低くなると、相対湿度は上昇する。

☆露点温度と飽和水蒸気圧
 結露が発生しはじめる温度が「露点温度」であり、この時の空気状態を「飽和水蒸気圧」と表現したりする。したがって、結露防止では、露点温度以下に下がらないように空気を暖めて膨張させたまま(相対湿度を低下させたまま)にしておくようにすればよい。

☆結露の発生場所
 室内表面結露は、壁体表面温度が空気の露点温度以下になると発生する。屋内側と屋外側では、露点温度以下になりやすい屋外側の方で発生しやすい。したがって、防湿層は屋内側に取り付け、屋外側には取り付けない。

☆飽和湿り空気
 飽和湿り空気は、相対湿度100%の湿り空気をいう。相対湿度100%の換気をしていない風呂場では、水蒸気量の差が出ないから、乾球温度と湿球温度は等しくなる。

☆エンタルピー
 エンタルピーは、物質の保有する熱量をいう。温度変化は熱量の変化と表現できるが、熱量と言わないで「エンタルピー」と表現したり、「比エンタルピー」と表現して出題される。

☆比エンタルピー
 比エンタルピーは、0℃の乾き空気を基準として、乾き空気1kg当たりの熱量(KJ/kg)で表したものをいう。比エンタルピーは、物体の保有する全ての熱量という意味であり、湿り空気には乾き空気が持っている熱量と、水分が持っている熱量があるから、この両方を足した熱量が湿り空気の比エンタルピーとなる。

☆潜熱と顕熱と全熱
 空気中の熱は、水蒸気が持つ熱量(潜熱)のほかに、湿度0%の乾燥空気が持つ熱量(顕熱)が含まれているが、この2つを足して「全熱」と表現する。

☆顕熱比
 顕熱比は、顕熱の変化量÷全熱(顕熱+潜熱)の変化量をいう。湿度0%の乾燥空気が持つ熱量(顕熱)の値を、全熱の値で割った値が「顕熱比」であり、この値が大きいということは潜熱が少ないと言うこと、つまり空気が乾燥しているということを意味する。逆に、この値が小さければ、空気が湿っているということになる。

☆アスマン乾湿計と断熱飽和温度
 アスマン乾湿計は、風を当てながら湿球温度を測定する。最も正確な湿球温度を測定できるので、空調条件を決定する際に使用されている。これで測定された湿球温度は、大量の水分との間でバランスの取れた熱のやりとりのない安定した温度、つまり、熱力学的湿球温度=断熱飽和温度=空気線図の湿球温度 にほぼ等しくなる。

☆熱水分比
 熱水分比は、文字どおり熱(エンタルピー)の変化量に対する水分(絶対湿度)の変化量の比をいう。相対湿度表示では温度変化によって水蒸気の割合が変化してしまうため、温度変化による割合の違いがないように「絶対湿度」で表示する。熱水分比が大きいと、水分の変化量の割に熱の変化量が大きすぎること、つまり暖房によって空気が乾燥していることなどを意味するので、この値を適正に保つ必要がある。

☆比熱
 比熱は、1kgfの物質の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量をいう。定圧比熱は、圧力を一定とした場合の比熱であり、この大気中(1気圧)で測定するのと同じである。定容比熱は、容積を一定とした場合の比熱であり、エンジンの燃焼室と同じである。

☆空気の比熱
 乾いた空気の比熱と湿った空気の比熱は、水蒸気量が異なるから異なる。


5 冷 凍

☆冷凍機の原理
 冷凍機は、「気化作用」を利用して冷凍する。気化作用とは、暑いと汗をかき、汗が蒸発して体温を下げる現象と同じであり、液体が気体に変化するとき、まわりから熱を奪う現象である。したがって、冷凍機とは、言い換えると「気化作用発生装置」と表現することができる。

☆圧縮式冷凍機と吸収式冷凍機
 一般の家庭用冷蔵庫は「圧縮式冷凍機」であるが、業務用の大型冷凍装置では「吸収式冷凍機」が用いられる。この違いは、冷媒(人間の場合なら「汗」が冷媒になる)に液体を用いるか、気体を用いるかによる違いである。

☆圧縮式冷凍機の冷凍メカニズム
 圧縮式冷凍機ではフロンガス(気体)を冷媒に用いるから、そのままでは気化作用を発生させることができない。気化作用を起こさせるには、いったん液体にしなければならない。気体を液体にするには、気体を圧縮してから熱を奪い取ればよい。したがって、冷蔵庫にはフロンガスを圧縮するために圧縮機(コンプレッサー)があるし、圧縮後に熱を奪い取るための放熱器(冷蔵庫の裏のたくさんの放熱板)がある。また、放熱して気体が液体化する(凝縮する)から、凝縮器も付いている。この段階でフロンガスは、液体(フロン液)になっているが、気化作用は液体を気体化する作用だから、気体の状態に戻さなければならない。気体の状態に戻すのは圧力を下げればよいから、元の1気圧の状態に戻せばよい(膨張弁で膨張させる)。1気圧の状態に戻した時に気化作用で周囲から熱を奪う。これが圧縮式冷凍機の冷凍効果である。

☆冷凍サイクル
 冷凍機の冷凍原理は、モリエ(ル)線図に重ね合わせた「冷凍サイクル」として説明される。

☆成績係数
 圧縮式冷凍機では、圧縮という「投資」に対し、冷凍効果という「見返り」があるが、この見返りに対する投資の割合を「成績係数」と表現している。成績係数が大きいと、冷凍機が高い効率で動作していることを意味する。

☆吸収式冷凍機の冷凍メカニズム
 吸収式冷凍機では、冷媒に水(液体)を使用するので、気化作用を発生させるために水が蒸発しやすいように気圧を下げて真空状態にする必要があり(蒸発器)、蒸発した後は元の液体に戻すために水蒸気を臭化リチウム吸収液で吸収する必要がある(吸収器)。水蒸気を吸収して濃度が薄くなった臭化リチウム吸収液は、水蒸気の吸収効率が下がっているので、濃度を濃くするために熱交換器をへて再生器に送られ、加熱される。再生器で沸騰した吸収液は、水蒸気を放出するので濃縮され、水蒸気の吸収効率を回復させてから熱交換器をへて吸収器に戻る。再生器で発生した水蒸気は、凝縮させる(気体を液体化する)ために凝縮器に入り、冷却されて液化し、蒸発器に戻る。


6 熱に関する法則等

☆ゼーベック効果
 ゼーベック効果は、2種類の金属の両端を接続し、一方の接点を加熱し他方の接点を冷却すると、両接点の間に起電力を生じ、電流が流れることを表す。これを利用したのが温度センサーとして用いられる熱電対である。

☆ダルトンの法則
 ダルトンの法則は、混合気体の圧力はそれぞれの各気体の圧力を全て合算した値で表されることを意味する。

☆ステファン・ボルツマンの法則
 ステファン・ボルツマン法則は、放射のエネルギーは温度の4乗に比例するというもので、この時の状態を表す比例定数をステファン・ホルツマン定数という。