普通のおいしい危ないコーヒーの話
 水質基準で定められているトリハロメタンは、発ガン性があるということで本当に出題が多い。
 このトリハロメタンは浄水場で塩素消毒を行った場合、もともと水道原水中に含まれていた有機物(フミン類)と化合することにより発生する。
 トリハロメタンには4種類あり、このうち最も高濃度で検出されるのは「クロロホルム」であるが、3分間沸騰させれば取り除くことができるということで出題されている。
 ところでこのトリハロメタン、水温と濃度の上昇との間で密接な関係がある。
 うまいコーヒーが飲みたい!ということでやかんに水道水を入れてガスレンジでお湯を沸かし始めると、水温上昇とともにトリハロメタンの濃度も一緒に上昇し始める。
 そして、お湯が沸いた!ということでレンジの火を止める頃、トリハロメタンの濃度がピークに達している……
 いや、これ本当の話らしい。
 だから、普通の人が飲んでいるお湯は、わざわざ発ガン物質の濃度を最大にした状態で飲んでいるということになる。
 あなたの飲んでいるコーヒーは、発ガン物質最高潮ですねぇ〜ということなのだ。
 だから、沸騰した段階で火を止めるのではなく、火の勢いを緩くしてそのまま3分間以上沸騰させ続ければよい。
 これでトリハロメタンは飛んでいってしまうということなのだが、この不景気な経費節減の折ですので、周囲の理解がないと、また無駄なことをやっているなぁと思われてしまうんでしょうねぇ〜。
(実際には5分間以上の沸騰で、トリハロメタン濃度が10分の1以下に減少するそうです。なお、水質基準では総トリハロメタンの値が0.1mg/L以下となっていますが、WHOの基準では0.03mg/L以下であり、世界水準と比べてかなり高いようです。ちなみに日本では、その地域によってWHOの基準値程度の値は普通に出るようです。)



ありえな〜い基準の便器用バキュームブレーカ!!
 負圧破壊性能基準というものがある。
 これは逆流防止性能基準と同様、いったん排出された水道水が配水管側へ逆流していくのを防ぐための基準である。
 断水工事終了後の再通水時に、水の流入によって配管内の空気が押し流されることにより真空状態となり、そのままにしておくと配水管につながっている給水管も真空になり、蛇口にゴムホースをつないでいると排出した水が逆流してしまうので、排出した水の身替わりとして空気を取り込んで、空気を代わりに逆流させてしまおうという発想のものが負圧破壊性能基準である。
 ここで定められている代表的な負圧破壊装置はバキュームブレーカというもので、日本語では「真空引き外し装置」とでもいうことになるのであろうか。
 いろんなタイプのものがあるが、一般によく見かけるのは和式水洗トイレの水を流すレバーの脇に付いている、ふりかけのキャップのような穴のたくさん空いているものがそうである。
 配管内が真空になって逆流しそうになると、あのふりかけの穴から空気を吸って流し切るわけだ。
 ところでこのバキュームブレーカ、負圧破壊性能基準の中では次のように定められている。
 「バキュームブレーカは、負圧破壊性能試験により流入側からマイナス54キロパスカルの圧力を加えた時、バキュームブレーカに接続した透明管内の水位の上昇が75ミリメートルを超えないこと。」
 これは、バキュームブレーカは水受け容器の越流面から150ミリメートル以上の高さに設置するため、その2分の1である75ミリメートルを超えて水が上がらないように定めたものであるらしい。
 ところで、この場合の「水受け容器の越流面」というのは、具体的にどこだか分かりますか?
 ・・・・・・。
 そう、便器の場合、便器の上端のへりの部分ということです。
 便器の上端のへりを1cmでも超えたら、当然、モノがあふれ出ます。
 それだけでなく、そこら中にモノだらけという……いや、食事中の方はごめんなさい。
 だから、便器のへりから75ミリも水があふれ出るということは、現実的にはあり得ない話なのです。
 試験実施機関側の方でも、このようなことはまったく考えたことがなかったらしく、私の疑問に対していろいろと調べたらしいのですが、要するにそこらじゅうにモノがあふれ出ることなんぞは全く考えていない基準だということのようでした(何だかヒドイ!)。
 そんなことよりも、公共水道の水質を守るということで、絶対に配水管の方へモノが流れていかないようにするということだけを考えた基準だということです。
 ま、当然といえば当然ですが、考えただけで気分が悪くなりそうなので、この辺でやめます。




水平に設置すると逆流する落としこまの話!?

 いわゆる「こま」を使用して開閉する止水栓には、逆流が発生したときにふたをして逆流防止作用を持たせた「落としこま」方式のものと、このような機能のない「吊りこま」方式のものとがある。
 落としこまの代表はメータ上流側に設置する「甲形止水栓」であり、吊りこまの代表は「玉形弁」であるが、この「甲形止水栓」については、従来、「止水部が落としこま構造であり、水平に設置すると逆流防止機能がある」ということで出題され続けてきた。
 ところが、平成14年度の問題からは「水平に設置すると逆流防止機能がある」という部分が削られて出題されるようになった。
 これは、メーカーによっては逆流防止機能の保証ができないものが存在するために見直された措置である。
 今後は、逆流防止機能のあるものは逆止弁を兼ねて今までどおり使用できるが、この機能のないものは別に逆止弁等の設置が必要になる。




吐水口空間の話

 配水管には通常、0.15〜0.5MPa程度の水圧の水頭(15〜50m)が加わっているため、いったん蛇口から吐き出した水が配水管側へ逆流するということはあり得ない。
 しかしながら、断水工事があると、工事によって配水管内部に空気が入り、通水再開するときに空気が水で押し流されることによってむりやり空気密度が減少するので、配管内部が真空状態になり、ゴムホース等によってたまり水と蛇口が接続されている場合、たまり水が配水管側に引っ張られて逆流する。
 これが逆サイホン作用である。
 逆サイホン作用が発生すると、汚れた水が配水管内部に入り、それを飲んだ人が腹痛等を起こす。
 このような逆流による公衆衛生上の問題の発生を防止する方法には、次の3つがある。
  @逆止弁などの逆流防止装置を設置する。
  Aバキュームブレーカなどの負圧破壊装置を設置する。
  B吐水口空間を確保する。
 このうち、最も一般的に用いられるのがBの吐水口空間の確保だ。
 なにしろ、蛇口の先っちょを水に漬からないようにすれば良いのだから確実だし金がかからない。
 問題は、どれだけ蛇口の先端部から水のたまり面までの垂直距離を確保するかだ。
 試験に出題されるのは、次の3つである。
  @風呂の場合、給水管口径に関わらず50o以上
  Aプール等の特に波立ちやすい水面や、薬品等を使用する水槽等では200o以上
  B一般の25o以下の給水栓の場合は、原則として給水管口径の2倍以上
 ここで、@、Aはそのまま出題されるので問題がない。
 Bについては、図の問題が出題されることがあり、具体的に吐水口空間部分と見なされる区間を知っていないと答えられない場合がある。
 出題が多いのは受水槽の場合で、その概略は次のとおりである。
  @オーバーフロー管が水槽に立っている場合(立て取り出し)、オーバーフロー管の上端部から、蛇口先端部分までが垂直落下距離が吐水口空間になる。
  Aオーバーフロー管が水槽の横から接続されている場合(横取り出し)、横に接続されている管の真ん中の部分から、蛇口先端部分までの垂直落下距離が吐水口空間になる。
 これに関連し、口径25o以下の場合だと、蛇口等が取り付けられた壁から蛇口の水の吐き出し部の中心までの水平距離(壁からの離れ)も、吐水口空間で確保した最低距離以上分を確保しなければならない。
 これは受水槽でも一般の単独水栓でも変わらない。
 実は、市販の本の中にはこれらのことに関する解説図の誤りが非常に多いので、注意する必要がある。



洗面器の謎の越流面!?
 先にも記したとおり、吐水口空間関係には謎めいたことがあるが、実際に出題された問題では平成11年のNo.25の問題が謎めいていた。
 それは、次のような問題だった。

問題 3 吐水口空間に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 近接壁から吐水口中心までの水平距離は、給水管の呼び径に関係なく、吐水口内径に等しい距離を確保しなければならない。
(2) 給水管の呼び径が25o以下の吐水口空間の垂直距離とは、越流管が立て取り出しの場合、越流管の最上端から吐水口の中心までの距離をいう。
(3) 洗面器の越流面とは、越流口の有無にかかわらずその上端をいう。
(4) 呼び径20oの給水栓を用いて、事業活動に伴い洗剤又は薬品を使う水槽に給水する場合は、越流面から吐水口の中心までの垂直距離を200o以上確保しなければならない。

 給水装置の試験の場合、解答は発表にはならない。(→平成15年以降は発表されるようになっています。)
 したがって、解答は推測するしかないが、(1)は明らかに誤っている。
 近接壁から吐水口の中心までの水平距離(壁からの離れ)は、口径が25o以下の場合、吐水口中心から水受け容器の越流面までの距離(吐水口空間)と同じ考え方が適用され、給水管口径の2倍以上の距離を取るからである。
 具体的には口径13oで25o以上、口径20oで40o以上、口径25oで50o以上の壁からの離れ及び吐水口空間を確保する必要があり、記述のように吐水口内径に等しい距離にはならない。
 したがって、(1)がこの場合の解答になる。
 しかし、もう一つ変なものがある。
 (3)の記述である。
 洗面器は、普通は家庭用品店で売っているプラスチック等の器を言うが、試験で出題される場合は洗顔用途等で使用する衛生器具を意味するようだ。
 普通、このような衛生器具はユーザーの使い勝手を考慮して水が器からあふれ出ないように、壁側の方に越流口(オーバーフロー口)が設けられている。
 したがって、越流口がない場合は洗面器の上端部を越流面とすることには問題がないが、このように設計してしまうとユーザーから苦情が来るのは明白なので、途中に越流口を設置することにより上端部までは水が上がらないようになっている。
 それにもかかわらず、何故、越流口の有無にかかわらず洗面器の上端部を越流面としなければならないのだろうか?
 率直に言って、非常に疑問であった。
 受水槽の場合であれば、越流管が立てて取り出している場合はその上端部が、横から取り出している場合は越流管の開口部の中心位置をもって越流面としている。(H24.9水道法改正により、中心位置ではなく、最下端へ変更された
 したがって、洗面器の場合も受水槽と同様に考えるべきであると思うのが普通であろう。
 いろいろと調べてみたが、結局、次のことが判明した。
 越流管の信頼性が高い場合は、受水槽の場合と同様に越流面を考えて良い。
 しかし、洗面器の場合は器具トラップ等の部分が詰まることも珍しくないので、越流管としての信頼性が低いと考えられる。
 このため、ユーザーの便宜を考えて越流口を設けることはあっても、正式な越流面は越流口の位置とせずに洗面器の上端部とするということらしい。
 したがって、この問題の(3)は一応正しいということになる。
 なお、この根拠はHASS規定にあり、これによると受水槽を除くほとんどの衛生器具は、仮に越流口があったとしても、器の上端部をもって越流面とすることがルール化されている。



多産系!?逆流防止装置の話
 逆流防止の方法には、
  @逆止弁などの逆流防止装置を設置する。
  Aバキュームブレーカなどの負圧破壊装置を設置する。
  B吐水口空間を確保する。
 等の方法が取られるが、逆流防止装置は結構たくさんの種類があって出題されると苦労する。
 逆止弁を大きく動作によって分類すると、次の4種類に分けられる。

 1.ばね式→弁がばねで動作。
 2.リフト式→水平部用。弁が垂直に上下。
 3.スイング式→水平・垂直両用。弁がヒンジピンを支点にスイングするように動作。
 4.ダイヤフラム式ダイヤフラムとコーンを利用。水撃防止作用あり。

 ばね式のものも、1つだけ逆流防止弁の付いた「単式」のもののほか、2つの逆流防止弁を組み込んだものには次のものがある。
  @複式逆流防止弁→点検時は配管から取り外す。
  A二重式逆流防止器→点検時も配管取付状態のままでOK
 さらに、2つの逆流防止弁に加えてバキュームブレーカとして作動する逃し弁も付けたものに、次のようなものがある。
  @減圧式逆流防止器→逆流圧力が大きくなると、逆止弁が故障してもしなくても逃し弁で逆流圧力を排水。
  A中間室大気開放式逆流防止器→逆止弁不動作時のみ逃し弁が作動し、逆流圧力を排水。



超めんどくさ〜な浸出性能試験!
 学科試験1で出題される「給水装置の構造及び性能」は、結構点数が取れない受験生が多いようだ。
 それというのも、たくさんの基準の内容と数値、対象とする給水装置等を覚えなければならないためで、要領よく覚えないと結構混乱する。
 その「給水装置の構造及び性能」の中でも最も出題が多いのが「浸出性能基準」に関するものだ。
 この基準は、要するに給水装置自体の成分の浸み出しによって飲料水が汚染されないようにするための基準である。
 したがって、飲料水(水道水ではない)を供給するための給水装置がこの基準の対象となっている。
 その基準の内容が、結構奥が深い。
 最近では末端給水用具の場合、基準を10倍厳しい取扱いとするということ、つまり、末端以外と比べて浸み出し量を1/10にするという問題が多いようだ。
 浸出性能試験では、給水装置の成分が飲料水の中にどれだけ浸み出るかという試験を実施するが、これがまた聞いただけで非常にめんどくさ〜な試験内容となっている。
 まず、試験に先立ち、「洗浄」なる手続きを取る。
 これは試験対象となる給水装置の供試用具を水道水で1時間洗った後、精製水で3回洗うことをいう。
 次に「コンディショニング」なる操作をする。
 これは、時間経過によって製品表面から浸出が一定限度減少し、安定するという実態を試験に反映させるための操作をいう───とされているが、給水用具によってやり方が異なり、全くやらない場合もあるようだ。
 たとえば、末端給水用具の場合では、原則として次のように実施する。

●おおむね23℃に保たれた浸出溶液を用い、水温を保ったまま次の動作を繰り返して行う。
 @供試用具内部を浸出溶液で満たして密封し、2時間静置後、浸出溶液を捨てる操作を4回繰り返す。
  この後、供試用具内部を浸出溶液で満たして密封し、16時間静置した後、浸出溶液を捨てる。
 A@の操作をもう3回繰り返す。
 B供試用具内部を浸出溶液で満たして密封し、2時間静置後、浸出溶液を捨てる操作を4回繰り返す。
  この後、供試用具内部を浸出溶液で満たして密封し、64時間静置した後、浸出溶液を捨てる。
 C@〜Bまでの動作をもう1回繰り返す。
 D@の操作を3回繰り返した後、供試用具内部を浸出溶液で満たして密封し、2時間静置した後、浸出溶液を捨てる操作を4回繰り返す。

 さて、これでようやく試験できる準備が整った。
 そう、以上の滅茶苦茶めんど〜な手続きは、試験するための単なる準備段階にすぎないのだ。(ガーン!)
 ここから、いよいよ本番の「浸出」の操作をする。
 これは供試管や供試用具内部を常温(23℃±2℃)の浸出用液で満たして密封し、水温を維持したまま16時間静置した後、浸出液を採取する操作をいう。
 この浸出液を採取して分析し、末端給水用具以外なら浸出量が「水質基準値」以下かどうか、末端給水用具なら「水質基準値」の1/10以下かどうかをチェックし、ようやく合否が決まるというわけ。
 いや〜長い長い。
 試験担当者様、本当にご苦労様です。
(※なお、「コンディショニング」の内容は出題されません!ご安心を..)



鉛管敷設替の要らない話
 水道用鉛管は、柔軟性に富むことから過去には水道管の主流であったが、鉛管からにじみ出る鉛の成分が人体に貧血や神経障害、消化管障害等の影響を及ぼすことが分かってから認識が改まり、現在では鉛管を見つけ次第敷設替えを行うとともに、水質基準でも0.05mg/L(平成15年以降は0.01mg/L)以下になるように規制されているのはご存知のとおりである。
 ところで、ヨーロッパでは未だに水道用鉛管が使用され続けている地方があるという。
 その地方では、水道水に関して特に何の問題も起きていないそうである。
 その理由は、お分かりであろうか?
 実は、その地方では水道水のアルカリ度が高いのだそうである。
 鉛の成分は、水温が高いほど、水の酸性度が高いほど溶け出しやすい。
 したがって、アルカリ度が高ければ水道水中に溶出する鉛の量も少ない、ということで、日本とは事情が全く違うということらしい。




自閉構造?の電子式水栓の所属
 学科試験2の給水装置工事事務論の中では、節水型給水用具の出題が結構多い。
 節水型給水用具には、大別して3種類存在する。分類すると次のとおりだ。

 (1)節水型給水用具
  @節水型ロータンク方式便所
  A節水型大便器用洗浄弁

 (2)節水が図れる給水用具
  @吐水量を絞ることにより、節水が図れる給水用具
   ア.定流量弁
   イ.泡沫式水栓
  A自閉構造により節水が図れる給水用具
   ア.手洗衛生洗浄弁
   イ.自閉式水栓
   ウ.電子式水栓
   エ.湯屋カラン
   オ.定量水栓

 (3)制御方式を使って、節水が図れる給水用具
   ア.小便器洗浄用ユニット
   イ.大便器洗浄用ユニット
   ウ.小便器洗浄用電磁弁
   エ.全自動電気洗濯機及び自動電気洗濯機
   オ.電気食器洗い機

 以上の分類区分が文章の穴埋め問題等の形で出題されている。
 ところで、(1)は最初から節水型ということで専用設計されており、(2)と(3)は節水が図れるという意味で区分が違うことはよく分かるが、(2)のAの自閉構造とされている電子式水栓は、他のものとは明らかに異なる。
 自閉構造のタイプのものは、電子式水栓を除けばメカニカルな動作で自閉作用を生じさせている。
 ところが、電子式水栓のみは電子制御装置によって開閉操作を行っている。
 その意味では、(3)の制御方式で動作させるタイプと全く同じなのだ。
 では何故、電子式水栓が自閉構造の側に分類され、制御方式の側に分類されなかったのだろうか?
 念のため、給水工事技術振興財団に問い合わせてみたところ、「大きな意味はない。どちら側に分類されていても問題はない」とのことであった。
 しかし、実際にはここで記した分類方法でしか解答できないように出題され、解答も求められている。
 これは何だか怪しい。
 調査したところ、次のことが判明した。
 (3)の制御方式を使うタイプのものは、要するに「電子頭脳」を持った給水用具なのだ。
 たとえば、小便器や大便器の洗浄用ユニットは、使用人数の測定を行い、その状況に適合した合理的な洗浄を行う。
 また、使用人数が極端に少なく、あるいは数ヶ月間全く使用しなかったとしても、衛生器具として問題が生じないようにするため、一定時間がくれば自動的に水を流す。
 中には「電子頭脳」の作用により、最も合理的な水使用になるように使用水量を制御するため、1か月でどれだけの量が節水できるかをカタログに謳っているものもある。
 共通しているのは、値段が非常に高価で、本来の機能のほかに様々な付加的動作要素を有しているということだ。
 こういうことができるのが(3)の制御方式を使って節水が図れる給水用具の意味なのだ。
 したがって、電子制御装置を用いているとはいえ、単純な開閉操作しか行わない電子式水栓は、(3)の中に分類するわけにはいかなかった・・・ということのようである。




出題の「ネタ本」の話
 給水装置工事主任技術者試験には、実は出題の元になっている「ネタ本」が存在する。
 ズバリ言うと、試験実施機関である給水工事技術振興財団で出している「給水装置工事技術指針」(旧称「解説 給水装置の構造及び材質の基準」)(送料とも7,000円)がそうである。
 ただし、これが「ネタ本」であることは公式には言っていない。
 しかし、まぎれもなく問題の9割程度までこの本の中から出題されている。
 したがって、この本を購入して勉強するのが合格への早道であることは確かである。
 しかしながらこの本、水道局のお役人たちが中心になって作成しただけあり、なかなか分かりにくいところがある。
 普通の分かりやすい日常語ではなく、わざわざまわりくどい表現で説明しているのだ。
 実は、ここにこそこの試験の性格を表しているのだが、率直なところ、給水装置の試験というよりもお役所用語試験、あるいは国語の読解力の試験ではないかと思いたくなるような問題が結構多く、この試験に合格するにはある程度問題として出題される独特の表現に慣れておく必要があるのだ。
 試験問題を見ていると、お役所で決めたとおりに答えないと合格点はやらない、という意図がありありと見て取れる。
 極端な話、現場経験をいくら積んでも、この試験には何の意味もないのではないかと思われるほどで、合格を目指して勉強されている方は、このことを肝に銘じて準備して欲しいと思う。
 最も良い準備の仕方は、分かりやすくまとめられた過去問題集を何度かやって、ネタ本で知識を補強するという方法になろう。




2つの残留塩素

 
毎年必ず出題される項目に残留塩素がある。
 水道水中に残留塩素が必要な分量確保されていなければ、水道を通じて水質汚染が広まってしまう可能性があるから、当然だとも言える。
 ところで、残留塩素には2つあるのをご存知だろうか?
 一つは遊離残留塩素であり、水道法で0.1mg/L(汚染時は0.2mg/L)以上確保されていなければならないとされている。
 もう一つは結合残留塩素であり、やはり水道法で0.4mg/L(汚染時は1.5mg/L)以上確保されていなければならないとされている。
 この遊離残留塩素と結合残留塩素の濃度の値は、2つ同時にこれを満たさなければならないということではなく、どちらか一方の値を満たしていればよいのである。
 この意味は、つまりこういうことだ。
 水道局の浄水場では、配水管を通じて水道水の供給を行う前に必ず塩素消毒を行う。
 この時、水道水中の消毒用塩素剤の状態は不安定であるが、塩素が比較的純粋な状態に近いため殺菌力はかなり強力だ。
 具体的には「次亜鉛素酸」、「次亜鉛素酸イオン」という名前で呼ばれる状態であり、これを遊離残留塩素と称している。
 この遊離残留塩素の状態のまま通常は蛇口から排出される。
 したがって、通常残留塩素と称しているものは遊離残留塩素のことだ。
 これに対して、何らかの原因でアンモニア等が水道水に入り込むと、遊離残留塩素が結合残留塩素へと変化することがある。
 逆に言えば、アンモニアと結合することによって安定な状態へと変化していくが、これが「クロラミン」と呼ばれる状態であり、殺菌力はかなり低下している。
 これが結合残留塩素の正体である。
 普通は水道水にアンモニアが入ることはないのだが、大都市部等のように水道原水自体が汚れている場合は、原水中にアンモニアが入っていることがある。
 また、あってはならないことだが、配水管中に汚水が入り込んだり、クロスコネクション等が原因で結合残留塩素が生じることもある。
 このようなことから、塩素濃度を遊離残留塩素だけで規定することはできないし、結合残留塩素だけで規定することもできないというわけなのである。
 ところで、遊離残留塩素と結合残留塩素の殺菌力の違いは、いったいどれだけあるのだろうか?
 水道法では0.1mg/Lと0.4mg/Lの違いだから、遊離から結合に変化したとたん、殺菌力が4分の1に減るのかと思うかもしれないが、実際にはそれどころではない。
 同一の殺菌効果を得るためには、結合残留塩素は遊離残留塩素の約25倍の濃度が必要とされる。
 また、仮に遊離と結合の残留塩素の値が同じだったとした場合、結合では遊離の時と比較し、殺菌するために接触させる時間を100倍位多めにとらないと同一の効果が得られないとされている。
 このようなことを考慮してか、水道原水に問題の多い東京や大阪等の大都市部では、浄水場で塩素消毒を行うほか、配水管の途中に中継地点を設け、そこでも消毒用塩素剤の投入を行っているそうである。




O-157の特徴

 
O−157については毎年のように出題されているので、ここで要点をまとめておこう。
 @病原性大腸菌O−157は、腸内で「ベロ毒素」を産生し、神経を起こして赤血球を溶かして血小板を破壊するため出血が止まらなくなり、腎不全や血便が続く症状を引き起こす。これを「溶血性尿毒症症候群」(HUS)という。
 A溶血性尿毒症症候群の治療法はないので、予防するしかない。
 BO−157は、遊離残留塩素0.1mg/l(水質基準値)以上又は75℃加熱1分以上で死滅させることができる。




O-157以外の出題の多い水系感染症・その他
 
O−157以外の水系感染症・その他で出題の多い項目は次のとおりである。
 @クリプトスポリジウム……下痢症を引き起こす「原虫」であり、堅い殻に覆われた「オーシスト」の状態で存在するため、塩素消毒を行っても効果がない。加熱・冷凍・乾燥に弱く、沸騰水で1分以上で死滅、60℃以上か−20℃以下の場合は30分、常温では1〜4日間の乾燥で感染力を失う。基本的に浄水場で水の濁りをきれいに取り去れば取り除くことができる。
 Aレジオネラ族菌……自然界に広く存在する細菌で、冷却塔水に混入して増殖する。健康な人には影響が少ないが、免疫力の低下した人がこの水の飛沫を吸った場合、肺炎様の日和見感染を引き起こすことがある。熱に弱く、55℃以上で死滅する。
 Bトリハロメタン……もともと水道水中に含まれていた有機物(フミン類)と、浄水場で混入する「消毒用塩素」が化合して発生する発ガン物質であるが、3分間沸騰させれば取り除くことができる。トリハロメタンには4種類あり、このうち最も高濃度で検出されるのは「クロロホルム」である。
 Cトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン……電気製品製造工場等でプリント基板を洗ったりするときに使用する。発ガン物質で、中枢神経に影響を及ぼす。分解が遅いため、この廃液により地下水が汚染されることがある。



H24.9水道法改正による影響は?

 平成24年(2012年)9月6日に比較的大きな水道法の改正がありました。
 10月の試験日までに微妙に日時があったせいか、平成24年度の出題問題の中には水道法改正部分と関連する問題は一切排除されていました。
 このため、平成24年9月の水道法改正による影響は、平成25年度以降の出題問題から出てくることが見込まれます。
 過去に出題されてきた問題で、平成24年9月の水道法改正による影響を受けるのは、次のような項目になります。
 @O(オー)リング等は、「パッキン」へと名称が変更された。
 A耐圧性能基準に関して、
  貯湯湯沸器及び貯湯湯沸器の下流側に設置される給水用具は、「耐圧性能試験により0.3MPaの静水圧を1分間加えた時、水漏れ、変形、破損、その他の異常を生じないこと」の規定は、『加圧装置及び加圧装置の下流側に設置されている給水用具は、耐圧性能試験により当該加圧装置の最大吐出圧力の静水圧を1分間加えた時、水漏れ、変形、破損その他の異常を生じないこと』へと変更された。
 B「一缶二水路型貯湯湯沸器」(一つの熱交換器を浴槽内の水等の加熱及び給湯に兼用する構造の貯湯湯沸器)は、『熱交換器内における浴槽内の水等の加熱用の水路』へと表現が変更された。この場合、溶接以外の接合箇所を有しない場合に1.75MPaの静水圧1分間で耐圧性能基準の試験を行う。
 C吐水口空間において、「越流面から吐水口の中心までの垂直距離」は、『越流面から吐水口の最下端までの垂直距離』へと表現が変更された。
 D負圧破壊装置を内部に備えた給水用具については、
  a.バキュームブレーカを内部に備えた給水用具、
  b.バキュームブレーカ以外の負圧破壊装置を内部に備えた給水用具
  ――の2つに区分され、それぞれ水位上昇の上限の値が次のとおり定められた。
  a.逆流防止機能が働く位置から水受け部の水面までの垂直距離の1/2を超えないこと。
  b.吸気口に接続している管と流入管の接続部分の最下端又は吸気口の最下端のうち、何れか低い点から水面までの垂直距離の1/2を超えないこと。




ストップバルブの意味の違い
 
日本国内で通常「ストップバルブ」と称して販売されているのは、流量調節可能な「玉形弁」のことである。
 でも、辞典で調べてみると、英語で”stop valve”という場合、「止水弁」を意味するようだ。
 止水弁は、通常、流量調整用ではなく、全開又は全閉用に用いられており、一般に仕切弁(gate valve=ゲートバルブ)が用いられる。
 つまり、「玉形弁」のことをストップバルブというのは、日本国内だけに限定した方が良いということだ。



「施工管理」と「施行管理」の違いは??
 
給水装置工事主任技術者の試験で、「給水装置施工管理法」という科目が存在している。
 この科目の中で、給水装置工事の「施工管理」の問題が出題されるわけであるが、これと非常によく似た言葉に「施行管理」というのがある。
 この言葉の違いは決して誤植によるものではなく、全く意味が異なるものであるが、この意味の違いを知っている人は本当に少ないようだ。
 市販の解説書でも、この違いを指摘しているものはほとんど見たことがないし、最大手の講習会社でもこの違いを指摘して解説しているものはまずないのではないだろうか?
 しかしながら、その意味の違いを知らないと解けない問題も存在しており、たとえば、「施工管理」で出題された問題例として平成15年の次のようなものがある。

問題 55 道路上の給水装置工事の「施工管理」に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1) 作業場に設置するさくなどは、その作業場を周囲から明確に区分し、公衆の安全を図るものであり、作業環境と使用目的によって構造を決定すべきものである。
(2) 道路上に作業場を設ける場合は、原則として交通流に対する背面から車両を出入りさせなければならない。
(3) 道路上に設置した作業場内には、作業用車両のほか、緊急連絡用のための車両1台を駐車させることができる。
(4) 施工者は、道路管理者及び所轄警察署長の指示するところに従い、道路工事現場における標示施設などの設置基準による道路標識、標示板等で必要なものを設置しなければならない。

 この問題では、(1)(2)(4)は正しい。
(3)は道路上に設置した作業場内に、原則として、作業に使用しない車両を駐車させてはならないため、誤りになる。

 これに対し、「施行管理」で出題された問題としては、平成12年の次の問題がある。

問題 42  給水装置工事主任技術者(以下、本問では「主任技術者」という。)が職務として行う給水装置工事の「施行管理」に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 主任技術者は、調査・計画段階で得られた情報や計画段階で関係者と調整して作成した施工計画に基づき、最適な工事工程を定め、それをもって工程管理を行わなければならない。
(2) 主任技術者は、施主に対して、あらかじめ契約書等で約束している給水装置を提供するため、給水装置の構造及び材質の基準に適合していることの確認等の品質管理を行わなければならない。
(3) 主任技術者は、工事の実施において、穿孔作業による配水管の損傷防止、給水管の端部からの土砂の流入防止等の出来高管理を行わなければならない。
(4) 主任技術者は、工事の実施に伴う労働災害及び公衆災害の防止等、安全管理に万全を期さなければならない。なお、ここでいう労働災害とは、工事の実施に伴い労働者が負傷、死亡すること等をいう。また、公衆災害とは、一般的に、公衆(工事従事者以外の第三者)に対する身体及び財産に関する危害及び迷惑とされている。

 この問題では、(1)(2)(4)はそのとおりで正しい。
 ということは(3)が適当ではないので、(3)がこの場合の解答になる。
 では何故、適当でないのだろうか?
 その理由は、この問題が「施行管理」の問題であって、「施工管理」の問題ではないためだ。
 実は、給水装置工事主任技術者の資格というのは、「施行管理」のための資格であって、「施工管理」の資格ではないのだ。
 したがって、給水装置工事主任技術者の職務内容として、「施行」管理すると記述してあれば正しいし、「施工」管理すると記述してあれば誤りになるのである。

 では、「施工」と「施行」の意味の違いは何であろうか?
 実は、「施工」とは現場における技術的な作業を意味する。
 具体的には、給水装置工事の場合、「配管工」の方々が行うような作業が「施工」に該当する。
 給水装置工事主任技術者の資格は、現場施工のための資格ではないから、「施工」は業務の中のほんの一部でしかない。
 これに対して、「施行」とは、工事の計画から最終的な引渡までの一連の作業を意味する。
 もちろん、その中には現場作業である「施工」も含まれるが、それ以前の工事の計画から打ち合わせ・調整、工事の現場進行、検査、引き渡しに至るまでの全体的な工事の進行管理が「施行」の意味であり、これを行うのが給水装置工事主任技術者の職務内容となっている。
 この問題の場合、(1)(2)(4)では、「施行」の管理内容について説明しているから正しいのである。
 また、(3)は現場における「施工」の内容について説明しているから誤りになるのである。




計算問題で使用される用語

 給水装置工事主任技術者試験での最大の山場の一つに、学科試験2で2題ほど出題される計算問題がある。
 計算問題では、計算時に使用される特別な用語があり、その言葉の意味を知ることが計算問題を解く場合の条件となる。
 そこで、計算問題で使用される用語の意味を簡単にまとめてみよう。


●水圧と水頭の関係
 水圧の単位はMPa(メガパスカル)であり、1MPaで高さ100mまで水が吹き上がる(水の頭の位置は100m)。
 よって、この時の水頭は100mとなる。
 ※ 1MPa=1,000kPa=1,000,000Pa=100m

 配水管に加わっている水圧を表す場合は(MPa)で表示し、配水管から吹き上がる水の高さを表す場合は(m)で表示する。なお、配水管に加わっている水圧を
計画最小動水圧(MPa)で表し、出題される場合がある。
(「計画最小動水圧」は、配水管工事の際の目安となるもので、最も使用水量の多い時間帯における確保しなければならない最小の動水圧を意味し、給水装置の取り出し部において150kPa(0.15MPa)を下回らないことと定められている。なお、水の使用量の少ない深夜に発生する最大水圧については、「最大静水圧」で740kPa(0.74MPa)を超えないこととされている。)
∴  配水管からの吹き上がる水の高さ(m)
     =配水管の水圧(MPa)の水頭(m)
     =計画最小動水圧(MPa)の水頭(m)


●給水に必要な圧力の概略
 直結式給水では、配水管の水圧の水頭だけで給水装置まで給水するので、
      配水管の水圧の水頭≧給水装置へ給水するまでに失われる損失水頭 の関係が成立する。
 ここで、配水管の水圧の水頭=給水装置へ給水するまでに失われる損失水頭 の場合、
      配水管の水圧の水頭=給水装置の
所要水頭
 
     この時、給水装置の給水栓等からは、この条件を満たす流量(L/s)が流れる。
      配水管の水圧の水頭>給水装置へ給水するまでに失われる損失水頭 の場合、
      配水管の水圧の水頭=給水装置の
所要水頭余裕水頭 となる。
     この時、給水装置の給水栓等からは、給水装置で必要とする所要水量(L/s)+αの流量が流れる。
 給水装置では、1日の間においても水圧変動が大きいことを考えて、現実的には
      配水管の水圧の水頭=給水装置の
所要水頭余裕水頭 で計算する。


●給水装置の所要水頭
 給水装置の
所要水頭は、給水装置で発生する摩擦損失水頭+配水管から最も高い位置にある給水装置までの高さ で構成されている。
 給水装置で発生する摩擦損失水頭を、
総損失水頭 という。
 配水管から最も高い位置にある給水装置までの高さを、
立ち上がり高さ
 という。
 したがって、給水装置の所要水頭は次の式で表される。

      給水装置の
所要水頭総損失水頭立ち上がり高さ

  
 ∴ 配水管の水圧の水頭=給水装置の所要水頭+余裕水頭
                   =(
総損失水頭立ち上がり高さ
)+余裕水頭




●総損失水頭
 総損失水頭は次の式で表される。

      総損失水頭=
給水管の摩擦損失水頭給水用具の摩擦損失水頭

 給水管の摩擦損失水頭は、
ウェストン公式流量図から動水勾配(‰)
を求め、次の式に算入して計算する。
(ウェストン公式流量図は下図のとおり。ウェストン公式流量図から動水勾配を求めるには、@口径、A流量、B配管の長さ の3要素のデータが必要となる。)

※注意:ウエストン公式流量図などの流量図から数値を読み取る場合は、正確な数値を読み取ることはもともと不可能なため、大まかな数値で判断すればよい。試験問題も、大まかな数値で解答可能なように出来ている。




      給水管の摩擦損失水頭=(
動水勾配×給水管の長さ)÷1,000

   ∴ 配水管の水圧の水頭=給水装置の
所要水頭+余裕水頭
                   =(
総損失水頭立ち上がり高さ
)+余裕水頭
                   =[(
給水管の摩擦損失水頭給水用具の摩擦損失水頭)+立ち上がり高さ]+余裕水頭
                  ={[
動水勾配×給水管の長さ)÷1,000]+給水用具の摩擦損失水頭+立ち上がり高さ}+余裕水頭


●給水用具の摩擦損失水頭

 
給水用具の摩擦損失水頭
は、次の2つの方法で示される。

第一の方法
 口径毎に示される「
給水用具の使用水量に対する損失水頭図」でそれぞれの給水用語毎に求め、最後に合算して給水用具全体の損失水頭を求める方法。
(給水用具の使用水量に対する損失水頭図の例は、下図のとおり。)




第二の方法
 「
直管換算長」で表される方法。
 
直管換算長」とは、給水用具による損失水頭を、同じ口径の直管の長さ相当で示す方法をいう。
 このため、給水用具でありながら、
給水管の摩擦損失水頭と同様の計算方法で求めることが出来る。

      総損失水頭=
給水管の摩擦損失水頭給水用具の摩擦損失水頭
             
=[(動水勾配×給水管の長さ)÷1,000]+給水用具の摩擦損失水頭
             =[動水勾配×(給水管の長さ+
直管換算長)]÷1000

   ∴ 配水管の水圧の水頭=給水装置の
所要水頭+余裕水頭
                   =(
総損失水頭+立ち上がり高さ)+余裕水頭
                   =[(給水管の摩擦損失水頭+給水用具の摩擦損失水頭)+立ち上がり高さ]+余裕水頭
                  ={[(
動水勾配×給水管の長さ)÷1,000]+給水用具の摩擦損失水頭+立ち上がり高さ}+余裕水頭
                  ={
動水勾配×[(給水管の長さ+直管換算長
)÷1,000]+立ち上がり高さ}+余裕水頭


 以上の計算式を覚えていれば、出題されるほとんどの問題を解くことが出来る。
 実際の計算問題では、配水管の水圧の水頭=給水装置の
所要水頭+余裕水頭 の式のうちの2つの要素が与えられ、残りの要素を計算で求めさせる問題が多い。
 たとえば、配水管の水圧の水頭及び余裕水頭が与えられ、給水装置の所要水頭を求めたりするような問題が出題されている。



『技術指針』どおりに答えると間違える問題!!
 今まで給水装置工事主任技術者試験で様々な問題が出題されてきたが、その中で、ある意味で最もおかしな問題だったのがこの問題ではないかと思う。
 何しろ、試験実施機関で発行している「給水装置工事技術指針」のとおりに答えると、信じられないことに『誤り』とされてしまう問題だったからだ!
 その問題とは、平成15年の「学科試験2」の問題No.32のことである。

問題 32  40戸の集合住宅での同時使用水量として、次のうち、適当なものはどれか。
     ただし、同時使用水量は、「
同時に使用する末端給水用具を設定して計算する方法」によるものとし、1戸当たりの末端給水用具の個数と使用水量、同時使用率を考慮した末端給水用具数、並びに集合住宅の給水戸数と同時使用戸数率は、それぞれ表−1から表−3のとおりとする。

(1) 1,690L/分
(2) 1,800L/分
(3) 1,950L/分
(4) 2,100L/分

表−1 1戸当たりの末端給水用具の個数と使用水量

末端給水用具 個数 使用水量(L/分)
浴槽(和式) 30
洗濯流し 25
台所流し 20
大便器(洗浄水槽) 20
洗面器 15
手洗器 10


表−2 同時使用率を考慮した末端給水用具数

総末端給水用具 同時に使用する末端給水用具数
2〜4
5〜10
11〜15
16〜20
21〜30


表−3 集合住宅の給水戸数と同時使用戸数

戸数 同時使用戸数率(%)
4〜10 90
11〜20 80
21〜30 70
31〜40 65
41〜60 60
61〜80 55
81〜100 50


 このような「同時使用水量の求め方」には、いくつかの方法がある。
 出題のされ方が「
給水用具の数と同時使用水量の関係についての標準値から求める方法」と指定された場合は、次のように計算する。

 @まず、1戸当たりの末端給水用具の理論上の同時使用水量を求める。
  (30+25+20+20+15+10)=120L/分
 A次に、表2を用いて、1戸当たりの現実的な同時使用水量を求める。
  表2によると1戸当たり総給水用具数が6個ある場合、同時に使用する末端給水用具数は3個であるから、
  120×(3/6)=60L/分
 Bこのような集合住宅が40戸ある場合、Aを40倍すればよい。さらに、表−3より40戸ある場合は同一時刻に同一の生活スタイルを有している戸数の割合が65%(0.65)であることから、
  60×40×0.65=1,560L/分
 以上のとおり、この方法では選択肢の答が出ない。

 よって、問題条件のとおり、「
同時に使用する末端給水用具を設定して計算する方法」により計算する。
 この方法によると、表−1のとおり総末端給水用具数が6個ある場合、表−2のとおり同時に使用するのは3個だということが分かる。
 したがって、この3個の給水用具として何を選ぶかが解答上のポイントとなる。

 試験実施機関である給水工事技術振興財団で発行している「給水装置工事技術指針」によると、「同時に使用する末端給水用具の設定に当たっては、
使用頻度の高いもの(台所、洗面器等)を含めるとともに、需要者の意見等も参考に決める必要がある」と記述されている。

 ここでは、需用者の意見は分からないため、表−1に示された@浴槽(和式)、A洗濯流し、B台所流し、C大便器(洗浄水槽)、D洗面器、E手洗器の6つの給水用具の中から、「
使用頻度の高いもの(台所、洗面器等)を含め」て末端給水用具3つを決定することになる。

 現実的に同時使用水量で問題になる時間帯は、食事や風呂の準備で忙しい夜の7時頃である。
 風呂の流量は大きいし、台所作業に支障が出てもいけない。
 したがって、表−1の中から同時に使用する給水用具を3つ選ぶとすれば、@浴槽和式(30L/分)、B台所流し(20L/分)、D洗面器(15L/分)───の3つしかない。

 よって、@浴槽和式(30L/分)、B台所流し(20L/分)、D洗面器(15L/分)の3つの流量を合算すると、65L/分となり、これが40戸分で、65×40=2,600L/分、さらに表−3による補正を行うと、65%=0.65なので、2,600×0.65=1,690L/分 が導き出される解答となり、解答選択肢は(1)となる。

 しかし、試験実施機関の給水工事技術振興財団から発表された解答は(1)ではなかった!
 正式発表された解答は、(3)となっていた。
 念のために確認したところ、この場合、流量の大きい側から3つ選択して、@浴槽和式(30L/分)、A洗濯流し(25L/分)、B台所流し(20L/分)又はC大便器(洗浄水槽)(20L/分)の3つ(合計75L/分)を同時使用する給水用具として選択して計算するのだそうだ。
 この3つの合計流量75L/分を先ほどと同じように計算すると、
 75×40×0.65=1,950L/分
 よって、(3)が解答になるとのことであった。
 この使用水量の大きい側から算出して計算する方法は、現実的にはごく一般的に用いられているようだ。

 しかしながら、先ほどの「給水装置工事技術指針」では、このように使用水量の大きい側から合算して算出しなさいとは一言も記述されていないのである!
 記述されているのは、先ほどの「
使用頻度の高いもの(台所、洗面器等)を含め」て末端給水用具を決定する方式である。

 参考までに後日、給水工事技術振興財団へ確認したところ、この6つの給水用具の組み合わせでは、同時に使用する給水用具としては、やはり、上記にあげた3つが代表的なものであり、この問題の解答の根拠となっている@浴槽和式(30L/分)、A洗濯流し(25L/分)、B台所流し(20L/分)───の3つの組み合わせは適切とは言えない....とのことであった。

 ということで、見解として「給水装置工事技術指針」を立てながらも、結果的にこの「指針」に反した解答方法が『正解』とされてしまった!
 この「指針」を信用して解答した人は、この問題を落としてしまったことになる。
 いかに、現実的に用いられている方法だからといって、このようなことがあってもいいものだろうか?