切削といしと研削といしの違い

 管工事施工管理技士の問題には、調べてもよく分からないものが出ることがたまにある。
 切削といしの特別教育というのが
平成24年に出題されたが、これなどはよく分からない出題の好例で、次のようなものであっ
た。

〔H24-B-No.19〕 工事現場の安全管理に関する記述のうち、「労働安全衛生法」上、誤っているものはどれか。
 (1) 特定元方事業者は、関係請負人を含めた労働者の作業が同一の場所で行われることによって生ずる労働災害を防止するため、毎週少なくとも1回、作業場所の巡視を行なわなければならない。
 (2) 切削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に労働者をつかせるときは、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
 (3) 酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合、当該作業を行う場所の空気中の酸素濃度を保つための換気に、純酸素を使用してはならない。
 (4) 架設通路において、墜落の危険のある箇所には、高さ85cm以上の手すり、中さん等を設けなければならない。ただし、作業上やむを得ない場合は、必要な部分を臨時に取りはずすことができる。

この問題の誤りとなる解答は、(1)であることが公表された。
作業場所の巡視は作業日毎に実施し、毎週少なくとも1回では足りないからである。
それは良いのだが、問題は(2)の方である。
実は、切削といしの特別の教育というものは存在しない。
存在するのは、研削(けんさく)砥石の方であり、@機械研削用砥石(専用工作機械内に取付けられているもの等)と、A自由研削用砥石(グラインダ等)――の2種類が『研削といしの取替え等の業務に係る特別教育』として安全衛生特別規程第1条及び第2条で定められている
そして、法令上は『研削』(けんさく)という言葉はあるが、『切削』(せっさく)という言葉はないらしい。
この問題では、切削といしという言葉を使ってしまっているので、正確には出題ミスということになってしまうようだ。

そもそも、研削砥石が何故、特別教育を必要とする業務となっているのかについては、ボンドで固められた仕上げ用砥石を誤って使用すると破裂する場合があるので、そういう事故を未然に防ぐ狙いがあるからだそうである。
メーカー筋では、『切削』と『研削』を厳密に区分しているわけではないと思われるので、厳密にどこまで『研削』砥石に該当するのかは現物を見てみないと判断できないが、一般的にざっくりと区別すると、
物を用いて粗めに削り取り、仕上がりが粗面になるのが『切削』で、専用の研削砥石を用いて高速回転等できれいに仕上げるのが『研削』ということになるようである。(27.2.29)



空気調和機の計算問題の解答方法

 管工事施工管理技士の出題問題の中で、時々空気調和機の計算方法に関する質問がある。

 これは、率直に言って別に解けなくても合格には何の影響もない。
 最初から解かない方がよい位の問題なのだが、一応、ご参考までに次の問題の解答方法を示しておこう。
 なお、この時に注意が必要なのは、参考書などには一つの解答方法しか書いていなくても、実際には解答の出し方には複数あるということだ。(何故か、わざわざ難しい解答方法で示してあることが多い。)

 
平成12年度問題A
【No.11】 図に示す冷房時の湿り空気線図において、空気調和機の送風量の数値として、適当なものはどれか。
 ただし、空気調和対象室の負荷は、全熱負荷30 kW(25,800 kcal/h)、顕熱比(SHF)0.8とし、空気の密度1.2kg/m
、空気の定圧比熱1.0kJ/kg・K(0.24kca1/kg・℃)とする。

(1) 4,900m
/h
(2) 5,400m
/h
(3) 6,600m
/h
(4) 8,200m
/h

【解答方法】
 空気調和機の送風量は、次の熱負荷を表す式の中で表されているので、与えられた条件をこの式に当てはめた上で、式を変形させて答を求める。
 なお、熱負荷を求める場合の比エンタルピー差は、還気の比エンタルピー(冷房前の室内空気の持つ熱量=53kj/kg)と吹出し空気の比エンタルピー(冷却直後の熱量=39kj/kg)の差となる。

    熱負荷=空気密度×送風量×比エンタルピー差 ←
この式は重要!

  (∴送風量=熱負荷÷(空気密度×比エンタルピー差))


解答方法1:[キロカロリー(kcal)で計算する場合]
    25,800=1.2×送風量×(53−39)×0.24≒4×送風量
  ∴ 送風量=25,800÷4=6,450≒6,600
(何故、0.24倍するかについては、1J=0.24calであるため。)

解答方法2:[キロジュール(kJ)で計算する場合]
    30×3,600=1.2×送風量×(53−39)
    108,000=16.8×送風量
  ∴ 送風量=108,000÷16.8=6,428≒6,600
(何故、3,600倍するかは、1kW(1kWh)=3,600kJであるため。)

解答方法3:[キロワット(kW)で計算する場合]
    30=1.2×送風量×(53−39)×(1/3,600)
    30=0.00467×送風量
  ∴ 送風量=30÷0.00467=6,423≒6,600
(何故、1/3,600を乗じるのかは、解答方法Aのとおり)

 以上の結果、解答は何れも(3)になる。
 なお、乾球温度と顕熱比から解答する方法もあるが、この場合は計算が若干面倒になる。



熱量の換算の考え方
 
管工事では熱量を表す単位としてcal(カロリー)、W(ワット)、J(ジュール)などの単位が使用されるが、これらの意味は次のようになる。

@cal(カロリー)で表す方法
 1気圧で1ccの水を1℃上昇させるのに要する熱量を1calで表す。
 よって、1リットル(=1,000cc)の水を1℃上昇させるのに要する熱量は1,000cal=1kcalになる。
 例)0℃の水1リットルを100℃の水に変化させるのに要する熱量は、100kcalである。

AW(ワット)で表す方法
 1V(ボルト)で1A(アンペア)の電流を流した場合に発生する電力が1W(ワット)であり、この条件で1秒間電流を流した時に発生する熱量を、1WS(ワット秒)で表す。
 したがって、1Wの電力を1時間(3,600秒間)続けて流した場合(1Wh=1ワットアワー)は、3,600WS(ワット秒)に等しい。
 同様に、1kW(=1,000W)の電力を1時間続けて流した場合(1kWh)は、3,600kWSに等しくなる。 
※注意点
 最近、熱量の考え方が改正され、単純に1kWと表現した場合、1時間電流を流したときに発生する熱量、つまり、1kWh(1kW=1kWh)を意味するようになった。

BJ(ジュール)で表す方法
 1WS=1Jとする。よって、1kJ=1,000WSとなる。
 したがって、1kWh(1kW)=3,600kJである。

[換算式]
 1J=1/3,600W≒0.24cal
 1W(1Wh)=3,600J≒860cal
 1kWh(1kW)=3,600kJ≒860kcal



瞬間湯沸器の瞬間錯誤的出題!?
 
瞬間湯沸器は管工事でも関係がある熱線風速計の発明者によって、「前世の記憶を思い出して」ほとんど瞬間的に発明されたものらしい。
 水圧を利用してガスの空だき防止を図るなど、非常に素晴らしいアイディアが取り入れられており、管工事の試験でも出題項目の一つとなっているが、平成14年の2級管工事問題では次のような問題が出題された。

【No.25】 湯沸器に関する記述のうち、適当でないものはどれか。
 (1) 開放式湯沸器は、燃焼に室内の空気を用い、燃焼による廃ガスは屋外に放出する機器である。
 (2) 元止め式湯沸器は、湯沸器付属の湯栓の開閉により給湯する機器である。
 (3) 先止め式湯沸器は、配管により必要な場所に給湯をする機器である。
 (4) 密閉式湯沸器は、燃焼用空気を直接屋外から取り、燃焼による廃ガスも直接屋外に放出する機器である。

 解答は発表では(1)と発表され、確かに(1)は「半密閉式」の説明であるから誤りであるが、(2)もまた必ずしも正しいとは言えないのではないだろうか。
 何故ならば、元止め式には「湯栓」というものは基本的に存在しないからであり、「水栓」の開閉により給湯するものだからである。
 これとは逆に「湯栓」の開閉で給湯し、「水栓」の開閉で給湯しないものが先止め式である。
 元止め式では仮に「湯栓」と表示されていたとしても、それはユーザーが使用する上で混乱しないようにするためにそのようにしているだけで、実際には「水栓」で開閉させ、熱交換器を通った後、出湯管を通ってそのまま大気中に開口されてお湯が出る内部構造となっている。
 したがって、この問題の解答は2つあると思われるのだが。




なんかヒドイと思う話

 試験問題として出題される問題の中には、時々「これはヒドイ!」と思うようないわゆるヒッカケ問題が出題されることがあるが、平成14年度の1級管工事でも次のような問題が出題された。

【No.14】排煙ダクトに関する記述のうち、適当でないものはどれか。
 (1) 排煙ダクトは、排煙によるダクトの膨張により変形脱落しないよう堅固に取り付ける。
 (2) 排煙機との接続は、原則としてフランジ継手とする。
 (3) 排煙ダクトに使用する長方形ダクトの板厚は高圧1・高圧2ダクトの板厚とし、ダクトの角の継目はピッツバーグはぜとする。
 (4) スパイラルダクトは、継目部分が多く強度が大きいので、排煙ダクトに適している。

 この問題の解答は(4)であることが公表されたが、(1)と答えてしまった人も多かったのではないだろうか?
 この問題は排煙ダクトというのがミソで、通常の空調ダクトで出題されたら(3)を除けば(1)が解答になってしまう可能性があった。
 (4)が誤りである理由は、排煙ダクトでは「すす」の沈殿防止(火災防止)が重要なので、継目の多いスパイラルダクトは向いていないということであろう。
 しかし、ここで(1)を正しいとするのは、あまりにもひどすぎる話だと思う。
 膨張で変形脱落するのを防止するため、堅固に取り付けるというのが正しいのであろうか?
(そんなことをしたら、ますます変形・脱落しやすくなってしまう。)
 この問題は、排煙ダクトの伸縮の起点部分を堅固に取り付けることと、ダクトの膨張により変形脱落しないようにたわみ継手を設けることをごっちゃにして出題しているのではないかと思われるのだが…。




水道法で定めていない水道法の問題??
 2級管工事施工管理技士では水道の水質基準に関する出題が毎年のようにあるが、平成12年には次のような非常にユニーク(?)な問題が出題された。

【No.47】 飲料用の受水槽の水質として、「水道法」上、適当でないものはどれか。
 (1) 大腸菌群は、10個/mLであった。
 (2) 鉄は、0.2 mg/Lであった。
 (3) 硬度は、200mg/Lであった。
 (4) pH値は、7であった。

 この問題のどこが変わっているかというと、水道法では受水槽のような「たまり水」の水質までは決められていないのである。
 ただし、全く無関心ということではなく、「簡易専用水道の規制について」という厚生省課長通知が昭和53年に出されており、その中で、@臭気、A味、B色、C濁りの4つについては異常がないこと、D残留塩素は検出されること―――について指導がなされている。
 また、今後の動きとして受水槽の水質についても水道局で責任を持つようにする動きもあるようであるが、まあそういったところである。
 受水槽については、現在のところ「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(いわゆる「ビル管理法」)の中で水質の確保等が定められている。
 したがって、この問題自体が不思議というしかないが、仮に「水道の水質」ということで出題されていたら解答は(1)になる。大腸菌は唯一「検出されてならない」と定められているからだ。
 なお、翌年の平成13年には次のような問題で出題された。

【No.47】 水道により供給される水の水質に関する記述のうち、「水道法」上、適当でないものはどれか。
 (1) 鉛は0.3mg/L検出された。
 (2) 大腸菌群は検出されなかった。
 (3) 鉄は0.3mg/L検出された。
 (4) 塩素の臭味があった。

 見てのとおり「受水槽」ということでは出題されておらず、一般的な問題に戻っている。
 なお、この場合の解答は(1)であり、鉛は貧血、神経障害等の原因になることから、0.01mg/L以下と定められている。



同じ問題で違う答え……悪夢的出題!
 コージェネレーションはLNG(液化天然ガス)等を発電と熱供給という一石二鳥で利用する方式をいう。
 たとえば、LNGで動くガスタービンエンジンやガスエンジンで発電機をまわすほか、高熱の排ガス(500℃程度)を利用して客先で必要とする蒸気や給湯用のお湯を沸かして供給するシステムをいう。
 排ガス温度が高温でなければ成立しないので、原則としてガス燃料を使用する。
 また、熱供給量の方が電力供給量よりも上回るようにしないと(熱電比を大きくしないと)メリットが出ない。
 最近、これに関する問題が結構むちゃくちゃだったので、ここでご紹介しよう。
 まず、平成9年の1級で次のような問題が出題された。


【No.17】 コジェネレーションシステムに関する記述のうち、適当でないものはどれか。
 (1) ガスタービンを使用する場合、ディーゼルエンジン及びガスエンジンに比べ、一般に発電効率は低く、熱回収率が高い。
 (2) ガスエンジンを使用する場合、排ガスとジャケット冷却水から排熱を温水として回収できるが、蒸気として回収できない。
 (3) ディーゼルエンジンを使用する場合、排ガス中にすすが含まれるため、排ガスからの熱回収は容易ではない。
 (4) ガスタービンを使用する場合、排ガスが500℃前後で排出されるため、蒸気二重効用吸収冷凍機が使用できる。

 ガスエンジンの排ガス温度が高温で蒸気(中低圧まで)を回収することが可能なので、適当でないのは(2)である。
 ところで注意していただきたいのは(4)であり、ガスタービンでは蒸気を作れるから蒸気二重効用型吸収冷凍機が使用できることが正しい選択肢となっている。
 このことを頭に入れたうえで、次の平成12年に出題された1級の問題を見てみよう。

【No.17】 コジェネレーションシステムに関する記述のうち、適当でないものはどれか。
 (1) ガスエンジンは、熱交換によりジャケット冷却水と排ガスから熱回収が可能である。
 (2) ガスタービンを使用する場合は、蒸気二重効用吸収冷凍機が使用できる。
 (3) ガスタービンの排熱回収源は、排ガスのみである。
 (4) ガスエンジンの熱電比(供給可能熱出力/発電出力)は、一般にガスタービンより低い。

 この問題では(2)以外のものはすべて何の問題もないので、答えは(2)である。
 ところで、ご覧のとおり平成9年の(4)と平成12年の(2)は全く同じ内容になっている。
 それなのに何故、平成9年では正しいと判断され、平成12年では誤りと判断されたのだろうか?
 実はその理由は「排ガスボイラー」にある。
 実は、ガスタービンで蒸気を製造するには「排ガスボイラー」の設置が条件であり、「排ガスボイラー」がなければ蒸気の製造は出来ない。
 ところが、平成9年の問題にも平成12年の問題にも「排ガスボイラー」のことが全く出てこない。
 だから、どちらも誤りとなる可能性があったのだが、平成9年では(2)は明確に誤りだったので、この問題では「おそらく排ガスボイラーがあるのだろうな」と思わせて解答させる問題だったのだ。
 それが平成12年の問題では他のものはどれも正しいことを書いてあるから、「排ガスボイラーはおそらく設置されていないのだろうな」と思わせることで解答させる問題になっていたようである。
 ということで、さすがにこれはまずいなと思ったのだろうが、某書ではこれを問題ごと修正し直して平成12年の出題文を意図的に作り変えて解答を無理矢理(4)にしていた。
 ということで、みなさんはこのような問題にはくれぐれも近寄らない(選択解答しない)ように注意しましょ〜!



試験場所によって変化する解答!?
 管工事の問題の中には、あまり地域性を考慮していないというか、実際問題として地域によって解答が変化するような問題が出題される場合がある。
 たとえば、ヒートポンプの問題がそうで、平成10年の1級で次のような問題が出題された。

【No.13】 空気調和設備の熱源に関する記述のうち、適当でないものはどれか。
 (1) 河川水は、ヒートポンプの熱源として利用可能である。
 (2) 蓄熱槽を設けることにより、冷凍機の高効率運転や深夜電力の利用が可能になる。
 (3) 熱源機器の容量は、間欠空調の方が連続空調に比べて小さくできる。
 (4) コジェネレーションシステムは、電力と熱の負荷バランスにより総合エネルギー効率が変動する。

 解答は連続空調の容量は小さくて済むので(3)であるが、冷え込みの厳しい北海道や東北地方等では(1)の選択肢も適当でないものになり得る可能性がある。
 なぜなら、ヒートポンプは採熱源の温度によって暖房能力が変化するからであり、低温になるほど暖房能力が低下するからである(このこと自体、結構良く出題されている)。
 具体的には採熱源の屋外湿球温度6℃の時、ヒートポンプの暖房能力係数を1.0として(この時の屋内乾球温度は20℃)、屋外湿球温度と暖房能力係数が比例関係で増減する。
 このことを示した関係図によると、採熱源の温度が0℃では暖房能力係数が0.8近くまで低下するが、採熱源の温度が10℃では暖房能力係数が1.2程度まで上昇する。
 したがって、ヒートポンプの採熱源の温度が冬場でも6℃以上であることが運転の目安とされているようで、東京以西ならばこのような問題でも構わないのだろうが、東北・北海道等では河川水が0℃近くまで低下するのは当たり前のことなので、寒冷地に住む受験生の場合、(1)が不適当な答えになってくる場合もあり得る。
 このような問題を出題する場合、「東京付近の河川水は、ヒートポンプの熱源として利用可能である」等のように使用する地域を明確にした方が良いと思うのですが、どんなもんでしょうかね〜。



排水設備と排水施設の関係Part 2
 排水設備責任技術者の欄でも記したのだが、どうも平成17年度1級管工事学科試験問題で排水設備と排水施設を混同する出題があったようである。
 おそらくこのことに気づいた問題解説書は出ないだろうと思うので、受験される皆さんが誤解されることのないように記しておくこととする。
 下水道法第10条では、排水設備と排水施設の関係が次のとおり定められている。

第10条 公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従つて、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない。ただし、特別の事情により公共下水道管理者の許可を受けた場合その他政令で定める場合においては、この限りでない。
 建築物の敷地である土地にあつては、当該建築物の所有者
 建築物の敷地でない土地(次号に規定する土地を除く。)にあつては、当該土地の所有者
 道路(道路法による道路をいう。)その他の公共施設(建築物を除く。)の敷地である土地にあつては、当該公共施設を管理すべき者
 前項の規定により設置された排水設備の改築又は修繕は、同項の規定によりこれを設置すべき者が行うものとし、その清掃その他の維持は、当該土地の占有者(前項第三号の土地にあつては、当該公共施設を管理すべき者)が行うものとする。
 第一項の排水設備の設置又は構造については、建築基準法その他の法令の規定の適用がある場合においてはそれらの法令の規定によるほか、政令で定める技術上の基準によらなければならない。

 これを見ると、「排水設備」とは公共ます以降の排水施設に接続するために宅内や敷地内に自費で設置する個人財産であり、自分で設置・維持・管理が必要なものであることが分かる。
 具体的には、屋内及び屋外排水設備、雨水貯留浸透施設、除害施設、私道排水設備などが「排水設備」に該当する。
 排水施設と言った場合は、この「排水設備」を含み、「排水設備」から先の公共ます、取付け管、下水道管、下水処理施設などの公共下水道として機能させるための様々な施設が含まれる。
 このことを念頭に入れて、平成17年度午前の次の問題を見てみよう。

【No.27】 排水設備に関する記述のうち、適当でないものはどれか。
 (1) 汚水ますの上流側管底と下流側管底との間には、原則として、2cm程度の落差を設け、半円状のインバートで滑らかに接続する。
 (2) 雨水排水系統に設ける雨水浸透ますは、ます本体が透水性を有するもので、原則として、内径又は内のりが30cm以上の円形又は角形とする。
 (3) 取付け管を接続する際に90°支管を用いるときは、管頂から60°以内の上側から流入させる。
 (4) T字形会合の汚水ますでは、流れを円滑にするため、管渠とますの中心線を一致させる。

 この問題の解答は(4)と発表され、確かに管きょとますの中心線を一致させると流れはかえって悪化するため適当でない解答になるのだが、実は(3)も適当でない解答になり得る。
 その理由は、この問題は「排水設備」の問題であり、(1)、(2)、(4)のますは「排水設備」として一般的であるが、(3)の「取付け管」は公道下で下水道本管と公共ます等を接続するものであり、個人が設置するものではなく下水道事業者(下水道局)が設置するものである。
 したがって、取付け管は「排水設備」ではなく排水施設になるため、「排水設備」の問題としては(3)もまた誤りになってくる。
 念のため、某所の下水道局にも確認してみたが、取付け管を「排水設備」として使用することはまず考えられないとのことであった。



水に関連する出題
 水の性質に関連する出題も多いが、その出題の要点と関連問題との関係は次のとおりである。
 @水は、1気圧では0℃〜100℃までは1リットル当たり1kcalの熱量を加えると温度が1℃ずつ上昇する。このように加えた熱量がそのまま温度変化につながることを「顕熱」という。⇒水は、温まりにくく冷めにくい。これを「熱容量が大きい」と表現する。
 A0℃の水は、1リットル当たり約80kcalの熱量を奪われると0℃の氷に変化する。このように温度変化がなく、液体から固体へ変化する形態変化に使用される熱量を「潜熱」という。⇒蓄熱槽は、水蓄熱方式よりも氷蓄熱方式の方が小型化が図れるのは、この潜熱を利用するためである。
 B100℃の水は、1リットル当たり539kcalの熱量が加えられると100℃の水蒸気に変化する。これもAと同様なので「潜熱」である。⇒蒸気暖房が温水暖房よりも熱量のコントロールが難しいのは、水蒸気が水に戻るとき、1リットル当たり539kcalの熱量を一気に放出するためである。蒸気暖房では、少量の水を加熱して水蒸気とするので、温まりやすく冷めやすい。これを「熱容量が小さい」と表現する。
 C水の密度は、4℃の時が最大となる。⇒排水ポンプの汲み上げ効率は、水温が高いほど低くなり、水温が4℃に近いほど高効率となる。
 D水の体積は、氷に変化するとき約1.1倍アップする。⇒このため、凍結による器具類の破損事故防止対策が必要になる。
 E水中に溶け込んでいる気体の割合を「溶解度」という。0℃の時に溶解度は最大となるので、水中に含まれる酸素量も最大となるが、温度上昇に伴い溶解度も減少する。⇒このため、高温水配管の方が低温水配管の場合よりも酸素の影響による「腐食」が少ない。
 F水素イオン指数(pH)は、7の時が「中性」、0〜6までは「酸性」、8〜14までは「アルカリ性」である。「酸性」は、0に行くに従って10倍単位で酸性度が高くなる。同様に、「アルカリ性」は、14に行くに従って10倍単位でアルカリ度が高くなる。⇒pH4の水を蒸留水(pH7)で10分の1に割ったらpH5、100分の1に割ったらpH6となる。同様に、pH10の水を蒸留水で10分の1に割ったらpH9、100分の1に割ったらpH8になる。
G生物化学的酸素要求量(BOD)とは、水の汚染度を調べるのに、水中に含まれている微生物が水中に溶け込んだ有機物を食べるときに酸素を消費することを利用して測定する。1リットルの水を20℃で5日間放置し、その間に微生物によって消費される酸素濃度mg/l(ppm)で表す。
H水道水の水質基準では、
 ア.大腸菌は「検出されてはならない」
 イ.一般細菌は「1ml中、集落数が100個以下」
 ウ.pHの値は「5.8以上8.6以下」。(下水道の排出基準も同じ)
 エ.遊離残留塩素濃度は「0.1mg/l以上」
 オ.鉛の基準値は「0.01mg/l以下」(平成15年3月以前は0.05mg/l以下)。



室内環境基準の要点
 
室内建築基準法で定める室内環境基準値に関する出題も毎回なされているが、その要点は次のとおり。
 @二酸化炭素濃度…100万分の1000(1000ppm)以下。
 A一酸化炭素濃度…100万分の10(10ppm)以下。
 B浮遊粉じん量……0.15mg/m以下。
 C室内温度…………17℃以上28℃以下。室内温度を外気温度よりも低くするときは、その差を著しく(具体的には、7℃以上と)しないこと。




出題の多い冷媒物質の特徴
 フロンガスを中心とした冷媒物質の特徴に関する問題は1級、2級を問わず非常によく出題されている。出題の要点は次のとおりである。
 @特定フロン(CFC)……地球温暖化の原因にはならないが、オゾン層を破壊するため1995年に生産中止された。
 A指定フロン(HCFC)……オゾン層を破壊する程度は小さいが地球温暖化の原因となるため、2030年に生産中止が予定されている。
 B
代替フロン(HFC)……オゾン層を破壊しないが地球温暖化の原因になるため、排出ガス抑制対象となっている。
 Cアンモニア……オゾン層を破壊せず、地球温暖化の影響も微少であるが毒性や可燃性がある。
 なお、地球温暖化は二酸化炭素の増加による影響が大きいと言われており、これもよく出題される。また、出題はされないが、オゾン層が破壊されると皮膚ガンの原因となる有害な紫外線が増加するため、特定フロンの生産が中止された経緯がある。




温熱4要素……出題の多い空調用温度表現

 管工事施工管理技士の特に1級の原論の問題では、空調用の様々な温度表現がほぼ毎年出題されているので、ここで簡単にまとめておこう。まず、空調用の温度表現用語は「温熱4要素」と呼ばれている次の要素の組み合わせから成り立っていることを覚えよう。
 温熱4要素
 @湿球温度⇒乾球温度計の感熱部に湿らせたガーゼを巻いて測定された温度
 A乾球温度⇒通常の寒暖計による測定温度
 B風速
 C放射温度⇒グローブ温度計(寒暖計の感熱部を黒色塗装された薄い球状の銅板で覆ったもの)により測定された温度(等価温度)を考慮したもの
 まず、最も出題の多い「有効温度」は、空調設計で一般的に使用されている温度であり、@、A、Bの3要素で表された実感的な温度を、無風、湿度100%の時の気温で表したものをいう。なお、同一条件で湿度50%の時の気温で表すと「新有効温度」となるが、有効温度も新有効温度も同じ「ET」の記号で表されるので注意する。
 有効温度は「ヤグロー線図」で求められることに関する出題も多い。
 次に「有効温度」では表されない壁体や暖房用放熱面等からの放射温度の影響も考慮して、@〜Cまでの温熱4要素すべてを用いて空気状態を表そうとするものが「修正有効温度」(CET)である。
 さらに湿球温度は無視して、A、B、Cの3つの乾き空気の温度作用のみで表すのが「作用温度(効果温度)」である。



「熱伝導率」と「熱伝達率」の違い
 ○TV系の人気番組「□△家の食卓」の2002年2月12日放送分の中で、裏技の解説に誤りがあり、管工事の問題にもよく出題されることなので、ここでご紹介しておこう。
 番組では、「お刺身を早くおいしく解凍する裏技」として、お刺身をビニール袋に入れて封をし、水中に浸して解凍すると、空気中で解凍した場合よりも、約4分の1の時間で解凍可能なことを紹介していた。
 そこまでは良かったが、裏技の解説で、どこかの先生が出てきて説明した内容が間違っていた。
 その先生は、「熱伝導率の違いによるものと思われます。」と解説されておられた。
 でも、これは誤りである。
 何故ならば、「熱伝導率」という言葉は、「固体内部」で熱が伝わる現象を表す言葉だからだ。
 「熱伝導率」の定義は、「等質な物体内を、単位厚さあたり単位時間内に単位温度勾配において移動する熱量」をいう。
 番組でやっていたように、刺身という「固体」から空気や水という「流体」に熱が伝わる現象ということであれば、「熱伝達率」というもっと適切な表現がある。
 なお、「熱伝達率」の定義は、「流体が固体壁面に接して流れるときに、単位時間当たり単位温度勾配において移動する熱量」をいう。
 したがって、正しくは「お刺身と接する水と空気の熱伝達率の違いによるもの」と説明すべきであった。
 この、固体内部の熱移動現象を「熱伝導」、固体と接する流体間との熱移動現象を「熱伝達」と区別して表現することは、結構良く出題されることなので、しっかりと覚えておくようにしよう。




勾配を大きくして流速を遅くする??逆勾配配管
 
蒸気配
管では「逆勾配」と「順勾配」の配管がある。
 逆勾配は蒸気と蒸気が冷えて発生した凝縮水の流れが逆になりますよという意味で、順勾配は蒸気も凝縮水も流れる方向が一緒ですよという意味らしい。
 順勾配の場合は、流れるものは違っても一方通行なので、特に問題は生じない。
 困るのは、逆勾配の取扱いだ。
 というのは、蒸気と水の流れの方向が逆だから、対向車線(?)を走る両者がもろに衝突する可能性が高く、もろに激突すればスチームハンマー(蒸気管をハンマーで叩くような音がすること)が発生するからだ。
 そこで、もろに衝突しないように、かといって凝縮水はちゃんと流れ落ちるように注意しなければならない。
 ということで、まず、1級の平成11年の次の問題である。

【No.12】 蒸気配管の施工に関する記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 配管の管末など凝縮水が溜まり易い箇所には、トラップを設ける。
(2) 順勾配の横引き管で径の異なる配管を接続する場合は、偏心異径継手を使用する。
(3) 順勾配の蒸気配管は、逆勾配の場合より勾配を大きくする。
(4) 還水管は、還水槽内での再蒸発を少なくするため還水槽の水面下まで配管する。

 (1)は水抜き用のトラップで水抜きする。
 (2)はそのとおり。
 (4)は還水槽の水中で還水管内の蒸気をボコボコさせ、できるだけ気体化させずにさっさと液体にしましょうということで、正しい。
 (3)が適当でない解答になるのであるが、これは凝縮水を戻さなければならないので逆勾配の方が勾配が大きくなる。
 ただし、これをやってしまうとうと、先ほどのスチームハンマーが問題になる。
 そこで、この問題に対応すべく(?)次の平成16年の問題が登場した。

【No.20】 蒸気配管に関する記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 蒸気管内及び機器内に溜まった凝縮水は、給気の障害となり、また、スチームハンマーの原因となる。
(2) 蒸気管の管径は、ボイラー出口から蒸気管末端までの全圧力降下をもとに、単位長さ当たりの許容圧力降下を求め、これと蒸気流量より決定する。
(3) 配管に設ける蒸気トラップの容量は、受け持つ配管の通気始めのときの凝縮水量を考慮して求める。
(4) 逆勾配横引き管及び上向き給気立て管の場合は、順勾配横引き管や下向き給気立て管に比べて、管内流速を速くする必要がある。

 (1)はさきほどのとおり。
 (2)も(3)もそのとおり。
 問題は(4)であるが、この場合、蒸気配管の問題なので、逆勾配の蒸気の管内流速は遅くする。
 理由は、先ほどのスチームハンマーの問題があるからである。
 しかし、反面、先ほどの平成11年の問題のように配管の勾配は大きくなり、凝縮水の管内流速は若干大きくなる。
 ということで、勾配を大きくして凝縮水の流れを確保し、反面、蒸気の管内流速は小さくして制限速度を守らせ、スチームハンマーを防止するという綱渡りのような作業が必要になるようである。



不活性ガス消火設備って何なの?
 
平成13年以降、二酸化炭素消火設備は、酸素を奪いながら消火するという意味で、「不活性ガス消火設備」という名前で同類の消火設備と一緒に総称されるようになった。
 不活性ガス消火設備には、@二酸化炭素、A窒素ガス、Bアルゴンライト(窒素ガス+アルゴンガス)、Cイナジェン(二酸化炭素+窒素ガス+アルゴンガス)の4種類がある。



リバースリターンって、何だか無駄じゃんの疑問
 
空調用温水配管方式にリバースリターン方式というのがある。
 これはビル内部などで放熱器内に入る温水の流量をどこでも一定にして、温水の供給圧力等の管理を行いやすくするために、行き管の長さが短かった場合は返り管の長さを長くし、逆に行き管の長さが長かった場合は返り管の長さを短く取って、結果的に行き管の長さ+返り管の長さ=一定とする方式だ。
 こうすれば、摩擦抵抗がどこでもだいたい等しくなるから、部屋によって放熱器の温度が暑すぎるだの、寒すぎるだのという苦情が来にくくなるのはよく分かる。
 でも、配管の長さ調節のために、本来長く配管しなくても良いような場所でもわざわざ長く配管せざるを得ないというのは、考えてみれば非常に無駄なような気がしませんか?
 でも、これってちゃんと訳がある。
 配管流量や配管の圧力のバランスを取るために、リバースリターン方式の替わりに定流量弁や減圧弁等を用いる方式はある。
 しかし、これらの弁類は一般的に高価である上、長期的な信頼性やメンテナンス性で問題がある。
 また、現実的に同じようなファンコイルを設置していく場合、設置箇所近くに配管を持っていったときに簡単な工夫でほぼリバースリターンになってしまうことが多いので、リバースリターンが採用されるようだ。
 また、設置箇所まで長い場合やある程度大きな放熱器の場合では、無理にリバースリターンにせずに3方弁方式とするのが普通である。



 なお、場所によって放熱器の温度差が出にくい場合や、出ても構わないような場合は、返り管をそのまま戻す「ダイレクトリターン方式」が用いられる。
 1級管工事の実地試験では、ダイレクトリターン方式の配管図をリバースリターン方式に変更させる問題が出題される場合があり、上の図がその出題例になっている。
 これは平成16年度の問題であり、左側がダイレクトリターン方式、右側がリバースリターン方式に変更した図になっている(ギザギザ部分が撤去する配管)。



冷却するために熱する……「吸収式冷凍機」
 
冷凍装置には一般家庭用の冷蔵庫のようなものから、「ガスで熱してなんで冷えるんだ〜」という声が聞こえてきそうな世にも奇妙な吸収式冷凍機というものもある。
 熱することによって冷やす・・・・この現実的な矛盾を知ったとき、結構ショックを受けるのが普通のようだ。
 いろいろ考えた挙げ句、常識では判断できないということになり、UFOだとか、心霊現象と同じようなものと思っている人もいるかもしれない。なんちゃってね。
 でも、吸収式冷凍機については、考えることを放棄してしまっている人は結構いると思う。
 しかしながら、管工事施工管理技士試験を受けようと思っている人は、よく出題されることだから、動作のメカニズム位は理解しておいた方がいい。
 なに、原理はわりと簡単だ。
 冷凍作用とは、要するに人間が汗をかいて風が当たったときに涼しいなと感じるのと同じだからだ。
 汗をかいて風に当たれば汗が蒸発する。
 つまり、液体が気体に変化する。
 この時に周囲から勝手に熱を奪い取っていって気体に変化するのである。
 これを「気化作用」という。
 つまり、液体を気体に変化させる環境を整えてやれば、後は勝手に冷たくなっていくということだ。
 この「気化作用」のことを冷凍機では「冷凍作用」と表現しているにすぎない。
 だから、冷凍装置というのは、原理的に言うと「気化作用発生装置」のことだ。
 問題はどんな物質を液体から気体に変化させるかだ。
 この冷凍作用を起こさせるために液体から気体に変化させるのに使用する物質、これを「冷媒」という。
 心霊現象ではないから「霊媒」ではない。
 冗談はともかくとして、そこに一般的な冷蔵庫等に採用されている圧縮式冷凍機と、業務用大型冷凍装置などに用いられることの多い吸収式冷凍機との違いがある。

 圧縮式冷凍機ではフロンガスが冷媒だ。
 フロン「ガス」という位だから、この我々が生活する1気圧の世界では「ガス」、つまり気体状態になっている。
 ということは、液体から気体に変化させるのが冷凍作用だから、しょっぱなから気体状態になってしまっていては非常に困るということになる。
 でも、何とかして液体化させることができれば、後は勝手に気体に戻ろうとする力が働くから、冷凍作用を発生させることが非常に楽だともいえる。
 だから、圧縮式冷凍機は言い方を替えると、「気体の液体化変換装置」ということである。
 気体を液体化させる方法、これは簡単だ。
 「結露」と同じだから。
 つまり、多湿状態から温度を下げてやれば結露が生じるわけだから、気体の濃度を上げてから温度を下げてやればよいということになる。
 だから、冷蔵庫にはフロンガスの濃度を上げるためにコンプレッサーが、温度を下げてやるために放熱器が付いている。
 冷蔵庫の裏に回ると分かるが、下の方に付いている黒く塗られた小さなボウルを被せたようなものがコンプレッサーで、たくさんの格子状のパイプが放熱器の放熱部分ということになる。
 つまり、エンジンでいえば空冷エンジン方式だ。
 もちろん、水冷エンジン方式というのもある。
 水冷エンジン方式の場合の冷凍装置の水冷部分は、ラジエータではなく「冷却塔」という。

 では、吸収式冷凍機ではどうだろうか。
 吸収式冷凍機では人間の汗と同じように水が冷媒として用いられる。
 水は液体だ。
 液体の状態で安定している。
 ということは、フロンガスの時とは異なり、気化作用が生じにくいということだ。
 気化作用を安定して発生させなければ冷凍装置としては使えない。
 だから、水を冷媒に使用する吸収式冷凍機は、言い方を替えれば「液体の気体化変換装置」ということになる。
 液体を気体化するにはどうしたらいいのだろうか?
 水を気体化するには、そう、お湯にして沸騰させてしまえばよい。
 気化熱としてどんどん熱が奪われていってしまう分を、熱を外部から供給してやれば確かに水蒸気にはなる。
 でも、これでは冷える部分が全くないから、冷凍装置としては使えない。
 熱を加えないで沸騰させることができれば、冷える部分が出てきて冷凍装置になるのではないだろうか・・・。
 ということで、熱を加えないで水を沸騰させることができないものか。
 実は、これができるのだ。
 理屈は簡単だ。
 平地ではお湯は100℃で沸騰する。
 しかし、高い山に登ってお湯を沸かすと100℃未満で沸騰する。
 沸騰温度が明らかに下がる。
 だから、熱いコーヒーが飲めなかったりする。
 だったら、もっともっと高い山に登ったら・・・、もっと低い温度で沸騰するようになる。
 この気圧と沸騰温度との関係を表したものを「モリエル線図」という。
 (これもよく出題される。)
 この「モリエル線図」によると、気圧をどんどん下げて真空状態に近くなると、それにつれて沸騰する温度がどんどん低くなっていく。
 この現象を「低温沸騰」という。
 もっと単純にいうと、冷たい真空状態の宇宙空間に「すいか」を投げたら、あっというまに沸騰して水分が失われ、ひからびてしまうということだ。
 というわけで、水を冷媒に用いる吸収式冷凍機では、水を低温で蒸発させるために真空状態を作らなければならない。
 だから、「コンプレッサー」を用いる圧縮式冷凍機とは正反対に、吸収式冷凍機では減圧するための「真空ポンプ」が必要になるのだ。
 圧縮しないで減圧するから、潰れることはあっても爆発することはない(これも出題される)。
 その点、圧縮式冷凍機よりも安全になるということだ。

 さて、最後の難問だ。
 吸収式冷凍機では、何故ガスを燃やしたり、外部から蒸気等の熱を加えてやらなければならないのか?
 実は、これは水が真空状態での「低温沸騰」により蒸発してしまった後の水蒸気の処理の問題である。
 冷凍装置として稼働し続けるためには、冷媒として用いられる水が液体と気体との間を行き来し続ける必要がある。
 水が液体のままだったり、気体のままだったりすると、そこから先の反応がストップして続かなくなる。
 つまり冷凍機が動かなくなる。
 したがって、冷凍作用を発生させた後の水蒸気は、さっさと取り払われなければならないのである。
 水蒸気を取り除くには圧力を上げて水に戻すという方法があるが、これだけだと効率が悪い。
 そこで、誰が考えたのか、「え〜い、面倒臭え〜。シリカゲル持ってこ〜い!」ということになり、シリカゲルで水蒸気を吸わせることになった〜!?
 えっ、冗談だってぇ〜。
 でも、これは本当のことです。
 しかし、実際にはシリカゲルは使用されなかった。
 何故って、シリカゲルは継続的な再利用が難しいからです。
 冷凍装置の一部として継続的な再使用が可能なシリカゲルがあれば良いのですが、それが「臭化リチウム」だったということです。
 臭化リチウムは「吸収剤」として出題されることが多いのですが、正確には「吸湿剤」ということですね。
 で、水蒸気をたくさん吸わせると臭化リチウム濃度が下がってきます。
 そうすると吸湿剤としての性能が落ちてくるから、適当なところで水分を抜いてやって臭化リチウム濃度を上げてやる必要がある。
 あんまり濃度を上げすぎても「結晶化」してしまう(これも出題される)から、そうならない程度に濃度を上げる必要がある。
 そこで、外部から熱を加えてやって臭化リチウム溶液を沸騰させて濃度調整する・・・。
 だからガスを燃やしたり、外部から蒸気を供給したりする必要がある・・・とまあ、こんな具合だったんですね〜。
 何だか、いたちごっこをやっているような、お医者さんが対症療法をやっているような、そんな冷凍装置なんですね〜。
(因みに、いたちごっこをやらなくても済むように、溶液にアルコールやアンモニアを使用したタイプもあるそうですが、これらについては出題されません。)
 以上、お粗末!m(_ _)m



ボイラー据付け作業指揮者の話
 
従来、一定規模以上の伝熱面積を有するボイラーの据付け作業を行う場合などでは、「ボイラー据付け作業主任者」の選任を必要とされていたが、平成18年4月1日以降は、ボイラー据付け作業の指揮者を定めることと改正された。
 新たに定められた「ボイラー据付け作業指揮者」になれる条件は、次の何れかに該当する者である。

1 ボイラーの据付けの作業に従事した経験を有する者であって、研修の受講等により次に掲げる事項に関する知識を有すると認められるもの
(1)ボイラーの構造、取扱い及び燃料
(2)ボイラーの基礎及び断熱の工事
(3)ボイラーの本体及び附属設備等の据付け
(4)関係法令
2 平成18年3月31日までのボイラー据付け工事作業主任者技能講習を修了した者

 このことに関連し、平成18年12月3日の1級管工事実地試験では、次のような問題が出題された。

【No.5】労働安全衛生に関する文中、[      ] 内に当てはまる「労働安全衛生法」上に定められている数値又は用語を解答欄に記入しなさい。

 (4) 温水ボイラーの据付け作業を行う場合、伝熱面積が[   D   ]uを超える場合には作業主任者を選任しなければならない。

 平成18年4月1日に改正されているので、出題時点ではこの問題は不適当となっている。
 なお、改正前までは温水ボイラーの場合、伝熱面積14u以上がボイラー据付け作業主任者の選任条件に該当していた。


※このNo.5 (4)の問題については、法改正により一部に誤りがあったため、解答者は全員正答解として採点処理されたことが発表されました。