出題の多い基本器具番号
 基本器具番号は、数字で電気工事で使用する器具の名称を示したものである。たとえば、27だと『交流不足電圧継電器』であることを表す。ただの数字なので、基本的な器具については覚えていないと何が何だかさっぱり分からないことになる。
 試験では結構出題があるし、知らないと全く見当がつかないので、良く出題される基本器具番号を示しておこう。
27→交流不足電圧継電器
42→運転遮断器、スイッチ又は接触器
51→交流過電流継電器又は地絡過電流継電器
52→交流遮断器又は接触器
55→自動力率調整器又は力率継電器
67→交流電力方向継電器又は地絡方向継電器
80→直流不足電圧継電器
(17.2.26)



水と電気の関係
 電気というものは、見えないものだし、下手にさわるとビリッと来るものなので、何だか分かりにくいものだというイメージがあるようである。
 でも、水の流れにたとえると非常に分かりやすくなるので、ご紹介しよう。
 まず、電流というものは川の水と同じようなものだという具合に考えよう。
 川の水が流れるためには、水の落差が必要だ。
 この水の落差(水位差)のことを、電気の世界では電位差=電圧と言っていると考えよう。
 電位差がないと、電流というものは流れないものだ。
 また、川の水が流れるには、水を流すための通路(水路)が必要だ。
 水路は、つるつるしたものだと水が流れやすいが、ざらざらして凹凸が激しいと流れにくい。
 この水路の凸凹の具合のことを、電流の世界では「抵抗」という。
 水の落差が大きいほど川の水の流れは増え、水路の凹凸が激しいほど、水の流れは減る。
 これを電流(水の流れ)は電圧(水の落差)に比例し、抵抗(水路のでこぼこ)に反比例すると言うことができる。
 このことを公式で表したものが「オームの法則」というわけだ。
 なお、複数の川の水をどこか一点で交わらせると、どこからか水が流れ込んできた分だけ、どこかに水が流れ出ていく。
 これを表した法則が、キルヒホッフの第1法則(接点方程式)である。
 (回路中の任意の接続点では、流入する電流の総和と流出する電流の総和は等しい。)
 また、川の水をどこかで最初の川につなぐと、最初に水の落差があっても、つないだ部分で水の落差がなくなってしまう。
 これがキルヒホッフの第2法則(閉路方程式)である。
 (閉回路では、起電力の総和と電圧降下の総和とは互いに等しい。)




電気と磁気は地球の自転と同じ話
 電気工事施工管理技士では、電磁誘導障害に関する問題が結構出題される。
 電気の世界では非常に根本的な話なのだが、電流が流れるということは、同時に磁気が発生しているということを意味している。
 では何故、電流が流れると磁気が一緒に発生するのであろうか??
 結構、これは知られていないのではないかと思う。
 電流というのは、マイナスの電荷を持った電子が−から+へ移動することをいう。
 これはほとんどの方が知っていると思う。
 そして電子というものは、地球が自転しているように自ら回転しているのである。
 この時、もしも電子が回転していなかったとしたら、磁気は発生しないらしい。
 電子が回転することによって、初めて磁気が生じるらしいのである。
 これは地球も同じであり、地球も帯電していて、自転することによって初めてS極、N極という極性が生じるらしいのである。
 さらに電子の回転方向によって、磁気の極性が決定されるらしい。
 であるから、最先端の電子工学の世界では、電子の回転方向を自由に変化させることが目下の最重要課題となっているようである。
 なぜかって?
 電子の極性を自由に変化させられれば、1と0の処理を電位差で行う(コンデンサで充電する)必要はなくなり、パソコンの性能を飛躍的にアップさせることができるからである。



再び電流と磁気の関係
 電気工学の最初のところでは、必ず電流と磁気の関係が出てくる。
 電気工事施工管理技士の試験でも、何らかの形で必ず電流と磁気の関係が出題される。
 しかし、問題の解説を読むと、この辺りのことをちゃんと説明していないというか、あいまいな説明が多いなぁと思うのは、私だけなのであろうか?
 そこで、非常に基本的なことなのだが、当たり前のことをまとめておこう。
 まず、電流であるが、ご存知のとおり、+から−に向かって流れていく。
 この+から−に電流が流れる時、流れる方向と直角に電線のまわりに同心円状に磁力線が発生する。
 磁力というものは、N極からS極に向かって磁力線が発生するというルールがある。
 これは非常に重要で、このことを説明しないばかりに、結果的に誤った説明をしてしまっている基本書というものを見たことがある(ヒドイものは、わざわざ絵でS極からN極へ磁力線を描いたものもあった)。

 この現象が「アンペアの右ネジの法則」と言われるものである。
 そう、右ネジというものは、どこが始まりでどこが終わりということはないけれど、磁力線がN極方向からS極方向に向かうことを右ネジ方向と称しているのだ。
 とすると、仮に電流が手前側の+極から、向こう側の−極側に向かって電線を伝わって流れているとすると、ちょうど時計方向に磁力線がN極からS極へ回ることになる。
 この状態を保持したまま、ここで永久磁石を2本準備する。
 電線の上側には永久磁石のS極が来るように、電線の下側には永久磁石のN極側が来るように配置する。
 この2本の永久磁石の間では、先ほど書いたように、ルールとしてN極からS極方向へ磁力線が飛ぶ。
 ということは、この場合、永久磁石間で下から上に向かって磁力線が飛んでいることになる。
 ここでは、永久磁石間で磁力線が飛んでいるだけではなく、電線に電流を流したことによって発生した磁力線が時計方向に回って飛んでいるので、2つの磁力線同士でやりとりが生じることになる。
 つまり、同じ方向に磁力線が向かっている時は磁力がさらに強力になるが、違う方向だと打ち消し合う。
 この場合では、電線の左側は磁力線が同じS極側の上の方向に向かい、右側は永久磁石間では上方向に、電磁石では下方向に磁力線が向かうから、磁力線同士が衝突して打ち消される。
 この結果、電線が磁力線の弱い側に、つまり右側に向かってはじき出されることになる。
 これが「フレミングの左手の法則」であり、このはじき出される力を利用して電動機を回転させるから、この法則は電動機の回転原理を表す法則だということになっている。
 「フレミングの左手の法則」では、中指、人差し指、親指をそれぞれ異なる3つの方向に直角に曲げて、最も長い中指方向が電流の方向(つまりこの場合、指の付け根が+方向で、指の先が−の方向)、人差し指が磁力線の方向(この場合、指の付け根がN極側で、指の先がS極方向)、親指が力の方向(磁力の吸引・反発作用によって磁性体が動く方向)を意味する。
 「フレミングの右手の法則」というものもあるが、これは左手の法則の作用・反作用の関係を示したもので、発電機の原理ということになっている。
 指の方向の意味は、右手の法則も左手の法則もまったく同じである。
 具体的には、
右手の法則も左手の法則も、発電機を2台並列接続し、一方の発電機をまわしたところ、もう一方の発電機が回転を始めたことから発見された。
 つまり、発電機も電動機も基本的には同じものであり、外部から回転力を与えることで電流として出力するものが発電機(右手の法則)、外部から電流を与えて回転力として取り出すものが電動機(左手の法則)である。
 よって、この2つの法則は同一のことを別々の立場から言い表したにすぎない。
※(参考)
 フレミングの左手の法則:磁束密度がどの場所でも一様な磁界内で、左手の3本の指を直交させ、人差し指を磁束に、中指を電流の方向に一致させる時、親指方向に電磁力が生じる。
 フレミングの右手の法則:磁束密度がどの場所でも一様な磁界内で、右手の3本の指を直交させ、人差し指を磁束に、親指を導体の運動方向に一致させる時、中指方向に誘導起電力が生じる。



氷雪3兄弟の話
 その昔、ムツゴロウさんだかの本で、広大な北海道では冬場に電線に着氷して停電し、牧場の人たちが大変困るので、電力会社の人たちが山の中に出動し、いっせいに電線を叩いて雪下ろしをするという話があったように記憶している。
 その時は、凍りそうな時に本当に大変な作業だなと思ったものだ。
 ところで、この氷雪のことをスリートというらしい。
 送電線の氷雪がらみのことは結構、出題があり、平成16年の1級では、次のような問題が出題された。

〔No.25〕 架空送電線路における電線の振動に関する次の文章に該当する用語として、適当なものはどれか。
「電線の下面に水滴が付着していると、下面の表面電位の傾きが高くなり、荷電した水の微粒子が射出され、電線には水滴の射出の反力として上向きの力が働き振動する現象」
 1.サブスパン振動
 2.コロナ振動
 3.ギャロッピング
 4.スリートジャンプ

 問題の表現がとても難しいが、雨が降っている時や霧が出ている時などに発生しやすいコロナ放電による電線振動=コロナ振動が答えである。
 コロナ放電は、偶然に小学生の時に雨の小学校の校庭の方を眺めていたら、一瞬電信柱近くの電線が真っ白になり、後で、あれがそうだったんだと納得した覚えがある。
 ところで、それ以外のものはみんな氷雪に関係があるらしい。
 1のサブスパン現象は、複導体、多導体送電線の導体を固定するスペーサに氷雪が付着し、振動が発生することをいう。
 3のギャロッピングは、電線断面積が大きい場合や多導体送電で電線に氷雪が付着している場合、水平方向から送電線に風が当たると発生する上下振動をいう。
 4のスリートジャンプは、送電線に付着した氷雪が脱落した時に、反動で電線が跳ね上がる現象をいう。
 ということで、ずいぶん熱心に分類したものだと思う(仕事だから……)。
 なお、今では送電線にリングを入れたりなどして、着雪を防止しているようである。




金、金、カネ〜の話

 妙な話であるが、問題解答の練習をやっていると、結局はお金の問題が非常に大事なんだな〜ということがよく分かる。
 いや、今のご時世の話というわけではなく、とにかく安く仕上げてバンバン儲けよう(!?)という設備が結構あるのだ。
 たとえば、「電気的火花一族」で書いたアークホーンだ。
 これはがいしの絶縁性能やら耐久性能やらを上昇させるのは金がかかるので、設けられた設備だ。
 鉄塔だって高く作った方が良いのだが、金がかかるし雷にも良く当たるので、ほどほどにということなのだろう。(高圧送電線の近くに住んでいると、白血病になりやすいとか・・TVで言っていたような気がする)
 鉄塔が低くなれば、地表部に近い電線ほど進み電流が発生しやすくなるので、3つの相の電線位置を時々入れ替える「ねん架」が必要だ。
 そもそも、電気設備に不可欠の遮断器は、絶縁性能を強化するのは金がかかる〜ということで設けられているとも言える。
 毎回出題される中性点接地方式だってそうだ。
 その中でも、中性点直接接地、抵抗接地、消弧リアクトル接地方式などで採用されることがある「段絶縁」のやり方は、変圧器代を安く上げるため、Y接続の中性点付近の絶縁性能を甘くし、その分を避雷器を経由して絶縁を確保した上でアースしており、いかにも〜という感じがする。
 電力会社にとって、変圧器は安く仕上げるためのツボなのかもしれない。
 変圧器の鉄芯部分の割合を増大させる(鉄機械にする)と、インピーダンスが下がり容量が増大し、安定化するが金がかかる。そこで、鉄芯部分をケチる(銅機械にする)と安上がりだが、インピーダンスは上がり、容量が減少し、不安定になるから何とかごまかす装置が必要になる。
 これは発電機も同じで、そこがまた出題のポイントになっていたりする。




電気的火花一族の陰謀!?

 どの世界でもそうなのだろうが、実際には同じようなものなのに名前だけは立派に違っていて、何やら非常に難しげなものがあるものだ。
 電気施工でもこのようなものがあり、電気的火花一族の名前が代表的かもしれない。
 要するに、暗闇でスイッチを入れた時にパチッと飛び散るあの電気の火花のことなのだが、用途や現象等によって結構名前が変化する。
 まず、送電系統で出題されるものに、「コロナ放電」がある。
 これは通常の運転で送電線相互間に電気の火花が飛び散ることを意味するようで、湿度が高く、高電圧で、電線断面積が小さいと生じやすい。
 次に、「フラッシュオーバ」がある。
 日本語で「閃絡」というようであるが、一般には雷撃等のように極端に高い電圧によって引き起こされる電気的火花を意味するようであり、電線から鉄塔側に流れると「フラッシュオーバ」、逆に鉄塔から電線側に流れると「逆フラッシュオーバ」となる。
 面白いのは、この時がいし表面でフラッシュオーバすると、がいしが壊れるので、がいしを通らないようにフラッシュオーバさせる装置がアークホーンであり、言ってみれば、アークホーンはフラッシュオーバ防止のためのフラッシュオーバ発生装置である。
 避雷針と言いながら、実際には「受雷針」なのと何となく似ている。
 アークホーンで思い出したが、「アーク」もそうだ。
 アーク(arc)は、円弧、弓形、弧光という意味で、「弧」とは、曲がった曲線とか弓などの意味だから、本当はスパークプラグのように、比較的弱電流で電極間に電気の火花が飛ぶ時の形が弓形のような場合を意味したのかもしれない。
 しかし、出題される時は結構強烈だ。
 送電線事故で、遮断器が下りた時に遮断器の接点間に流れる強烈な電流をアークという。
 このアークは異常電流であるから、早急に何らかの手段で消滅させる必要があるが、ここでアークを消すことを「消弧」という。
 遮断器は、消弧の手段に応じてガス、真空、磁気、油、空気等の種類があるわけだ。
 アークホーンを流れる電流は、アースしてしまうしか打つ手がないと思われるが、それにしてもアークホーンが何故フラッシュオーバホーンではないのか、不思議な感じがする。



マニアックゥ〜な中性点接地方式
 毎年、1・2級を通じて忘れ去られることなく出題が続けられているものに「中性点接地方式」がある。
 これは、要するに「空中送電線用1線地絡事故等遮断動作検出回路用接地方式」であり、空中送電線で最も多い地面や立木等との接触による地絡事故時の遮断動作を行うための検出回路である。
 この事故の特徴は、事故発生の次の瞬間には事故原因のほとんどが消滅してしまっているということであるが、平成14年の2級では、今まで1級、2級を通じて一度も出題されたことがなかった問題が出題された。

〔No.14〕 次の図に示す架空送配電線路の中性点接地方式として、適当なものはどれか。
 1.消弧リアクトル接地方式
 2.抵抗接地方式
 3.非接地方式
 4.補償リアクトル接地方式
※問題図は、Y結線中性点をアースする途中に、リアクトルと何だか分からない白枠の部品(抵抗器の新しい記号)が並列接続されたものになっている。

 今まで、中性点接地
方式の問題は、@直接接地方式、A抵抗接地方式、B非接地方式、C消弧リアクトル接地方式 の4つの中から出題されてきた。
 しかしこの問題は、これらの何れでもない回路図であり、答えは「補償リアクトル接地方式」である。
 この補償リアクトル接地方式、抵抗接地方式の一種であり、送電系統にケーブル等による静電容量が多くなる場合に進み電流から来る異常電圧が高くなるための対抗策として用いられる。
 進み電流を抑制する目的でリアクトルによる遅れ電流を供給し、異常電圧を抑えるもので、通信線に対する電磁誘導障害も高抵抗接地方式と同程度に抑制される特徴がある。




電気的風が吹くと桶屋が儲かる話?
 
電気施工の専門分野で出題される問題は、いわゆる「風が吹くと桶屋が儲かる」ような感じの出題が結構多い。
 つまり、AというものがBに変化し、それがCになるからDが答えになるというような類の問題だ。
 そのため、解答する側も具体的なイメージが湧かないと解答できないものが多い。
 しかしながら、A→B→C→Dという一連のつながりが、一気にA→Dは正しいか?と聞かれても、卵を見せられて、これはカブトムシなのか?と聞かれているようなもので、聞かれる方は何をどうイメージしたらよいのか非常に困ることがある。
 これは解説者でも同じらしく、A→B→C→Dのつながりを説明せず、AはDなんだ!としか書いていない解説書が非常に多い。
 特に平成11年に出た次の問題は、まだまともな解説を見たことがないので、ここでご紹介する。

〔No.11〕 電力系統に関する記述として、不適当なものはどれか。
 1.誘導電圧調整器は、無効電力を制御して電圧制御をする機器である。
 2.長距離特別高圧電線は、遅れ無効電力を相殺する効果を持っている。
 3.無効電力を調節する機器として、電力用コンデンサが広く用いられている。
 4.電力系統内の1ヵ所で有効電力制御を行えば、系統全体の周波数を制御することが可能である。

 結論から言えば、この問題の解答は1である。
 誘導電圧調整器は、要するに変圧器の1次巻線と2次巻線の位置関係が、通常の平行間隔からちょうど扇子を開くように1点を中心に角度が開いていき、それによって2次側の誘導起電力が変化するのを利用して電圧を無段階制御する。
 この際、無効電力は一定のままであり、電圧調整することのみを主目的とするので、誤りになる。
 この問題で困るのは、4番の問題である。
 有効電力制御を行えば、周波数制御が可能だと言っている。
 最初、さっぱり意味が分からなかった。
 力率改善等によって周波数制御は出来ないし、周波数制御は基本的に発電機の回転速度で決まるからだ。
 そこで、いろいろ調べてみたところ、次のようなことだろうと判明した。
 @電力需要が大きすぎると、重負荷の状態、つまりコイル成分の多い状態になる。
 A重負荷では発電機の負担が重いので、発電機の回転速度が落ちやすい。
 B発電機の回転速度が落ちれば、周波数低下につながる。
 C周波数を下げないためには、発電機の並行運転を行って負荷分担を行えばよい。
 ということで、結局、ここでいう電力系統内の1ヵ所とは、発電所のことらしい。
 また、有効電力制御とは、要するに発電機の並行運転のことを言いたいらしい。
 でも、それならそうと、最初からそのように書いて出題すればよいではないかと思うのだが・・。
※補足:
 なぜ、風が吹くと桶屋が儲かるのか?
 風が吹くと、砂ぼこりが舞う→砂が目に入る→運悪く、目が不自由になる人もいる→昔は、目が不自由になると三味線弾きになる人が多かった→三味線の需要が増える→三味線の材料となる猫の皮の需要も増える→猫がいなくなる→ねずみが増える→ねずみが増えると、桶ががじられる→たくさんの家で桶がかじられて、穴があく→桶屋が儲かる。



電車線型誘導障害発生用ループアンテナの話
 
交流電気鉄道では、電磁誘導障害対策のためにATき電方式(倍電圧送電方式で送電ロスが少ない)では単巻変圧器が、BTき電方式では吸上変圧器が用いられる。
 しかし、なぜこれらの変圧器を用いると誘導障害対策になるのかという説明は、ほとんど見たことがないので、知っている範囲で書いておこう。
 これは電線の表皮効果の場合も同じ理屈なのだが、電気鉄道ではレール面の5m上空にトロリ線があって変電所からの電流が流れてきており(この時は単相交流に直されている)、パンタグラフでこれを受電して電車のモーターを回し、レールという一種の電線を伝わって変電所に戻っていく。
 これをもっと遠くから見ると、電車を境にしてトロリ線とレールの間を大きな電流が流れるので、全体がループ形状になっている。
 このループの長さが電源周波数と同調する付近の長さになると、電磁誘導作用が発生しやすくなるため、誘導障害電波送信用ループアンテナとして作用し、汚い電波をまわりにまき散らすことになるようだ。
 仮に、変電所からの送電周波数が50Hzだとすると、電流は秒速30万Kmのスピードなので、30万Km=300,000Km=300,000,000,000mより、300,000,000÷50=6,000,000m=6,000Kmとなり、1波長で6,000Kmということになるが、電車を境にループ状に途中で折り返すので、半分の3,000Kmもあれば電源周波数と同調することになる。
 しかし、実際には4分の1波長でも8分の1波長でも大丈夫だし、電車自体が高調波電流を発生させるので、結論的には、変電所→トロリ線→電車→レール→変電所で構成されるループ回路は、出来るだけ小さい方が汚い電波が発生しにくいということになる。
 このため、トロリ線→電車→レールと電流が流れた後、トロリ線側の単巻変圧器なり、吸上変圧器側に電流を戻してやると、ループを小さく区切ることが出来るので、結果的に誘導障害対策になるということらしい。



建築限界の例外の話
 
建築限界とは、列車走行の安全を確保するため、線路の上下・左右に隣接して築造されている、いかなる建造物もこれを侵してその中に入ることを許されない一定の限界をいう。
 また、普通鉄道構造規則では、列車運転の安全を確保するため、車両限界外に保持すべき最小空間をいう、とされている(この「最小空間」が出題されたことがある)。
 この車両限界は、列車の大きさのリミットのことで、軽自動車等でいう規格の最大サイズのことだ。
 これらを定めることによって、線路に近接する建物や信号機、電線路設備等が列車に衝突しないようにするための一種の国境地帯のようなものを設けている訳であるが、この限界線を破って車両限界側にはみ出しても良い例外が一つある。
 電車のパンタグラフに電源を供給するためのトロリ線を始めとする「電車線」(トロリ線、ちょう架線、ちょう架装置)がそうである。
 考えてみれば当たり前のことであるが、これ以外のものは建築限界を超えてはみ出すことは出来ない。
 したがって、変電所からの電源の供給ラインを意味する「き電線」の場合は、電車線との間に一定の離隔距離を取る必要がある。
 このことに関連して、平成11年の2級で次のような問題が出題された。

〔 40〕 電気鉄道の架空き電線工事に関する記述として、不適当なものはどれか。
 1.鉄道を横断するき電線の高さは、レール面上5.5m以上とした。
 2.き電線の引留装置は、その地域でのき電線の最大張力の2.5倍以上の安全率を持った部材を使用した。
 3.き電線の接続は、圧縮接続とした。
 4.交流ATき電方式のき電線を電車線路支持柱に対して、電車線と反対側に併架した。

 1〜3までは何れもルール通りのことなので、解答は4である。
 4は、要するに電車線とき電線を離して設置したということであるが、先ほどのとおり、この両者は離隔距離を取る必要があるから、このこと自体は別に誤りではない。
 また、実際問題として用地の関係から、この問題にあるような工事方法を取る場合もないわけではないようであり、その意味ではこの問題は必ずしも適切な問題であるとは言えないらしい。
 したがって、誤りの理由を探すしかないのであるが、結局、電車線とき電線を離しすぎればループ回路が形成されやすく、その結果として電磁誘導障害が生じやすいので誤りだということらしい。
 それにしても、4番目の文章は感心するほど訳の分からない文章である。



インバーター新幹線
 
インバーターエアコン黒猫クン!?などというというコマーシャルがあるように、今やインバータ装置は生活になくてはならないものになっている。
 ところでこのインバーター装置、要するに電源加工装置であり、商用周波数電源→直流電源→可変電圧可変周波数電源という具合に電源を変化させるものである。
 交流誘導電動機の回転数は電源周波数に比例するため、可変電圧可変周波数電源を供給すれば電動機の回転数制御が行えるというわけであるが、面白いのは新幹線等も理屈においてはエアコンと変わらなくなってきていることだ。
 交流電車は、以前は新幹線も在来線も電車の中で変圧された後に整流され、直流モータで駆動していた。
 直流モータは始動トルクが大きいから電車に向いているという訳であるが、反面、故障しやすいという欠点がある。
 そこで現在は新幹線には交流電動機が搭載され、インバータで回転数制御がなされるようになっている。
 在来線はどうかというと、まだ直流電動機が多いが、新幹線同様交流電動機搭載のものが増えてきているということだ。




互いに影響しあう直交変換
 
1級電気工事施工では、効率的な送電が行えるということで「直流送電」に関する出題が必ずある。
 たとえば、平成12年には次のような問題が出題された。

〔No.10〕 電力系統における直流送電に関する記述として、不適当なものはどれか。
 1.架空送電線路は、交流送電より絶縁レベルを低くできる。
 2.交流電源を直流で輸送したり、交流系統間を直流連係すると交流系統の短絡容量が増大する。
 3.変換所が高価なため、小容量で近距離送電の場合には適さない。
 4.交直変換時に発生する高調波や高周波を吸収するフィルタ設備が必要である。

 この問題での不適当な解答は2番になる。
 交流電源を直流に変換する場合では、途中に入る装置でいったん交流と直流の接続が途切れるから、交流系統の短絡容量の増大(つまりインピーダンスの低下)には影響しないからである。
 つまり、交流と直流は互いに影響し合わないということが前提になっている。
 ところで、4番についてはインバータ装置と一緒で、電流の加工(切り貼り)によって高調波が発生しやすくなるので、その対策としてフィルタ設備が必要になる。
 この場合、電源供給は最終的に交流で行うので、フィルタは主に2次側の交流電源にかけることになるのであろう。
 これと何となく似ている問題が平成15年で出題されたのでご紹介したい。

〔No.15〕 誘導電動機のインバータ制御に関する記述として、不適当なものはどれか。
 1.インバータの主要な回路は、コンバータ部とインバータ部で構成されている。
 2.インバータ入力側の電流波形のひずみが、電源への高調波の発生原因となっている。
 3.可変速運転するので、騒音及び振動は発生しない。
 4.V/f 一定制御法は、周波数制御による速度制御法として使用されている。

 インバータでは、可変速運転に伴う騒音・振動が発生するので、不適当な解答は3番となる。
 ところで、問題なのは2番である。
 インバータ「入力側」の電流波形のひずみが、電源への高調波の発生原因となっていると言っている。
 高調波が発生するのがインバータ「出力側」だと分かりやすいのだが、「入力側」である。
 インバータ装置は、交流→直流→周波数と電圧が可変できる交流(VVVF) の流れで出力されるので、もしこれが正しいとすれば、出力側が入力側に影響を及ぼすことになり、直交変換所においても、交流入力側にもフィルタが必要だということになるのかもしれない。
 念のため、インバータ製作会社の人にこの理由を聞いてみたところ、インバータ入力側に影響が出るのは、接続される負荷が大きすぎる電動機であることが最大の原因であるらしい。
 インバータ装置では、商用交流を直流に変換する場合、ダイオードを使用して全波整流し、大まかな直流に変換した後、なだらかな直流にするためにコンデンサで平滑化している。
 つまり、一般家庭電化製品の電源回路と全く同じであり、その意味では何ら特徴のあるものではない。
 ただ、インバータ装置では制御する機器の負荷が非常に大きいという特徴があるため、コンデンサで平滑化した場合に生じるわずかな電圧変動(リップル分)が、一般的な電気機器では無視できるレベルであっても、インバータ装置では無視できないほど影響が大きくなり、負荷電流の絶対量の大きさがそのまま入力側に影響を及ぼし、電流波形のひずみとなって影響を及ぼすのだそうである。
 参考までに、インバータを無負荷状態に近い状態で運転すると、入力側にリップル分の影響はまったく出ないそうである。
 なお、インバータ装置の「出力側」への影響は、サイリスタ等の半導体装置を使用して電流加工を行った後、そのまま誘導電動機に接続してしまうので、電流波形は非常にひずんでしまうが、そのまま負荷機器に接続され、インバータ装置を通って電力として消費されるので、装置の出力側の電流波形のひずみによる影響は入力側よりは小さくなるそうである。



コンマ以下の可能性に架ける橋!?

 
どんな世界でもそうだろうが、電気工事施工管理技士の問題にも時々訳が分からないというか、調べても問題自体が変なんじゃないかと思われる問題が出題されることがある。
 その問題は平成13年に出題され、次のような内容のものだった。

〔No.85〕 電気工事士等に関する記述として、「電気工事士法」上、誤っているものはどれか。
1.一般用電気工作物の配電盤を造営材に取り付ける作業を第一種電気工事士が行った。
2.一般用電気工作物の電圧100Vで使用する電線管とボックスの接続に係る工事を認定電気工事従事者が作業した。
3.自家用電気工作物に係る電線を支持する柱を立て、腕木を設置する工事を第二種電気工事士が作業した。
4.自家用電気工作物に係るネオン設備用分電盤を設置する工事を該当する特種電気工事資格者が作業した。

 学科試験合格者発表時に、この解答は「2」になることがインターネット上で公表された。
 でも、これは変じゃないだろうか?
 解答は「なし」ではないだろうか?
 その理由は次のとおりだ。
 1,3,4はまったく問題ない。
 2の一般電気工作物の100Vで使用する電線管とボックスの接続の工事は、ご存知のとおり第1種又は第2種電気工事士の資格が必要で、純然たる認定電気工事従事者の資格だけでは工事はできない。
 だから、2を誤りとしたのだろう。
 認定電気工事従事者は、500KW未満の自家用電気工作物のうちの600V未満の部分の電線路を除いた配線や設置・変更工事が業務範囲であり、これだけを見ると確かに問題の工事はできない。
 しかし、この認定電気工事従事者、現実的にはほとんどの場合が既に第2種電気工事士を取得している者を対象にしており、自家用電気工作物の低圧部分の工事も行えるようにしたい場合に、3年以上の実務経験があるか、3年未満ならば(財)電気工事技術講習センターが行う講習を1日受けて経済産業局長(旧:通商産業局長)へ申請することによって取得できるものだ。
 だから、工事を行う認定電気工事従事者は、既に第2種電気工事士免状を持っていると考えるのが自然だ。(第1種だと、最初から自家用電気工作物の工事が行える。)
 逆に、第2種電気工事士の資格もなく、認定電気工事従事者のみの資格で工事に従事しているという状態はきわめて異常であり、次のとおり、実務経験がない者が工事に従事しているということを意味することになる。
 したがって、実際の現場では99%以上あり得ない話と思われるが、理論的にはあり得るのは確かである。
 それは、次のような場合だ。
 第2種電気工事士免状を持たない者が第1種電気工事士試験に合格し、5年間の実務経験がないため第1種電気工事士免状を取得できない場合、経済産業局長へ申請すれば認定電気工事従事者の資格が取れる。
 この場合は、電気工事士の免状がない状態で認定電気工事従事者のみの資格を有することとなり、認定電気工事従事者としての作業範囲内でしか作業が出来ないから、問題の条件を満たすことになる。
 また、電気工事士免状を持たない電気主任技術者の場合も、同様の手続を取ることが認められている。
 したがって、この条件を満たす場合のみ、問題の2番は誤りということだ。
 念のため、認定電気工事従事者手続きの担当課へ問い合わせたところ、非常に少ないケースであるが、確かに電気工事士免状なしで認定電気工事従事者として登録されている者はいるとのことだった。
 でも、こういうきわめて珍しい認定電気工事従事者しか持っていない者が、ただ資格を持っているっていうだけで実務経験もロクにないのに実際の工事に従事するっていうことはあり得ますかね?
 まあ、絶対にないとは確かに言い切れませんけどね。
 でも、あったとしてもコンマ以下でしかないと思うんですけどね。



進歩しない出題ミス!?の話

 
施工管理技士の試験では、率直な話として、時々出題ミスと思われる問題がある。
 その出題ミスの中では、「以上」と「超える」の違いを誤解して出題したと思われるパターンが結構昔から多かった。
 たとえば、平成16年の2級電気工事施工でも、次のような問題が出題された。

〔No.51〕 移動式足場(ローリングタワー)の組立て、解体等の作業に関する記述として、不適当なものはどれか。
1.作業床の高さが1.5mであったので、安全な昇降設備を設けた。
2.作業床の周囲に設ける手すりの高さは、75cmとした。
3.使用上の注意事項を記載した表示板を取り付けた。
4.組立ての高さが5mなので、作業主任者の直接指揮で行った。

 この問題の不適当な解答は、主催者側によるインターネット発表によると2番なのだそうである。
 しかし、2番は不適当な解答ではないものと思われる。
 労働安全衛生規則第563条第1条3号ハにおいて、作業床に設ける手すりの高さは「75cm以上」とすることが定められているからである。
 そして、問題文中の75cmは、「75cm以上」に入るので、これが不適当だという理由が分からない。
 この場合、本来の不適当な解答は1番ではないかと思われる。
 労働安全衛生規則第526条において、「事業者は、高さ又は深さが1.5mを超える箇所で作業を行う時は、当該作業に従事する労働者が安全に昇降するための設備等を設けなければならない。」と定められており、問題で言っている「1.5m」は「1.5mを超える箇所」には該当しないためである。
 (この場合、仮に「1.5m以上」と定めてあれば、1.5mは該当する。)
 なお、3番と4番については特に問題はない。
 この「以上」と「超える」の違いを誤解したと思われる出題ミスは、本当に10年以上も昔からまったく進歩していないようだ。
 受験される皆さんも、注意して解答するようにしよう!

※(注意)平成21年5月までは手すりの高さは75cm以上でしたが、その後85cm以上に改正されています!



進歩しない出題ミス2!?の話
 施工管理技士の出題の中には、問題作成時にチェックらしいチェックをしていないのでは?と思われる問題がたまにある。
 その具体例として平成17年の2級の実地試験問題で、次のような出題があった。

2―2 図に示すネットワーク工程表について、次の問に答えなさい。ただし、矢線の上段は作業名、下段は所要日数を示す。
 (1) 所要工期は、何日か。
 (2) 作業Fの所要日数が4日から7日になった場合、所要工期は何日か。




 この問題は、ネットワークを勉強した人なら、誰しもがイッパツで変だと気づくのではないかと思う。
 そう、ダミーの部分でC→B、G→Fと数字が大きい方から小さい方へと進んでいる。
 ネットワークは数字の小さい方から大きい方へ向かって矢線で示すから、これは明かに異常だ。
 こういうのが平気で国家試験問題として出題されて良いのかなと、考えてしまうのだが..